DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

Month: October 2006 (page 1 of 2)

秋入梅(あきついり)

 やがて訪れる次の季節へと繋がる冷たい雨。静かに降り続けるそれは地上の隅々まで流れ至り、熱と光を覆ってゆく。何だか今年の冬は長くなりそうで嫌だなあと独りごち、夜のカーテンを引く。微かに冬の匂いがした。

羽根

 朝、5時47分。夜を通して聞こえていた虫の音は次第に掠れ、入れ替わりに新聞配達のバイクの走行音や、近くに在る鉄道の操車場から列車が動き出す音が聞こえてくる。空は曇天の如き薄暗さで、街灯は未だ点いており、出窓に置いてある観葉植物の葉陰には小さくなった夜が居座っている。表の通りからは、自転車を走らせながらの会話が聞こえ、階上の部屋からは目を覚ました住人のたてる物音が聞こえてくる。
 僕は微睡みながらそれらの音を聞くともなく聞いていたのだが、喉が渇いたので湯を沸かしに起きあがった。薬罐の鈍い光沢、水蒸気の煙、茶の匂い。少しく暖まった身体を持て余し、明るく青くなってきた空を眺めながら、散歩に出ようかと思案する。しかし再び横になりたい気持ちもある。ふと、子供の頃に早朝の雑木林で見つけた、羽化したばかりの蝉の白い羽根を思い出した。動き出すには未だ早い。

詠句

箸を手に垣根とびこえ猫笑い

詠句

秋落ちて蜻蛉の羽根に黄金色

恋愛寫眞 / 堤 幸彦

 副題の「 Collage of Our Life 」勝手に意訳してしまうのなら「我々の人生を彩るもの」。人生を彩るものとは、それは思い出であろうか、それとも光か。撮るという行為は、今自分が観ている光景が手元に欲しいから。ではその写真を他人に見せるのは何故か。伝達し共有する事ではないか。では誰と?
 写真に限らず、個人の見聞きした何かを共有したがるのは何故なのだろうか。勿論それは一部の人かも知れないが、少なくともそれが何かしらの喜びに繋がっているのだろうな。そんな風に思う。

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