最近になって知人に指摘を受けるまで、DVDに特典映像のディスクがもう一枚入っている事を完全に失念していた。改めて観てみると、そのディスクには未公開映像と、監督・一青窈・浅野忠信のインタビュー、予告編などが収録されている。本編を観ている時に、最後のクレジットロールに夕張の名前が出てくるが、何処に夕張なんか出てきたのだろうと思っていた。実は未公開映像とは夕張に一青と浅野が、一青の叔父に会いに行く旅を写した数十分の映像であった。
 本編よりも、この夕張編を観ていて強く思ったのは、一青窈と浅野忠信に限らず周りの役者達も、これってホントに演技しているんだよなあと思えるくらいに普通に喋っている。誰かの日常を勝手に撮っているような感じ。自分の観ている光景が限りなく自分に近づいてくる。

 夕張編の最後に(本来はこれが本編の最後になる予定だったのだろうか)一青窈の主題歌をバックに、車窓からの風景が延々と流れる。僕は「世界の車窓から」を好きで観ていたが、その番組だと列車に乗り合わせた乗客や、列車そのもの、駅などに焦点が合わせられている。しかしこの映像は、通常私達が列車に乗った時に観ている光景を写しているだけである。それがとても気に入った。もし、何処かの駅から何処かの駅までの車窓の光景のみを、淡々と写したDVDが売っていたなら、僕はきっと買うだろうな。眠れなさそうな夜に、そんな映像を観ながら眠りに就きたい。