春というのは、寒かったり暖かったりを交互に繰り返しながらも、確実に穏やかさを誂えていく。時折、つむじ風が吹くのも、もしかしたら膿んだ空気を一掃する為のものであるのかも知れない。寒暖の差は人を不安定にするかも知れないが、安定の無さは可能性の存在を現しているものと考えたい。季節が奥まって、陽の光が隅々に行き渡るに連れ、人々の顔が綻び、笑顔に近づいていくのが、僕はとても嬉しいのである。