僕たちの世代では、逆にジャンルへのこだわりがそれほどありません。実際、日本のアートマーケットを広く見渡せば、陶芸、洋画、日本画といろいろなジャンルがあります。現代アートのマーケットは規模も小さいですが、これらすべての美術品をひっくるめて考えれば、巨大なマーケットが見えてきます。

(中略)

 ただし、買い手側、つまりコレクターの側から考えるとマーケットは確実に異なります。求めているものが違うからです。
 美術のジャンルは、定義自体よりも、コレクターの趣向やそれによって形成されるマーケットによって分けられると言えるのではないでしょうか。

小山登美夫著『現代アートビジネス』アスキー新書 2008年 pp.155-156