もう次の季節に移ったのかと思ってしまう程の透明な空。すり抜ける風は静けさを孕む。通り過ぎる電車や車、歩く人々の声は遠くそして鮮明な形で僕の耳に届く。8月になったばかりだと言うのに、既に秋は用意されているようだ。日毎に入れ替わる私の希求は落ち着きを見せない。どれか一つに絞ってしまえば、僕の生活はよほど楽に、そして確固としたものになるだろうに。雑多な僕の願いはやがて削り落とされ、痩せこけ、単純で切実な糧として残る事を夢見て生きているような、そんな気がしている。