この二週間というもの、平日は治らない風邪を抗生物質で誤魔化しながらエンヤコラと働き、休日は仕事したり用事があって出かけなければならなかったりして養生する時間があまりないので、日曜の夕刻の頃には本当に倒れるように床に着く。床に着くとは言っても眠ってしまう訳ではなく、意地汚くだらだらと本を読んだりDVDを観たりしているのだが。
 しかしこの身体の感じ、とても嫌な感じだ。以前にもこういうのに悩まされた。部屋でじっとしている分にはさほどの事はないのだけれど、外へ出かけてしまうと時間が経つにつれて体調が悪化し、終いには歩き続ける事すら出来なくなる。それで予定を急遽中止して帰宅してしまった事がもある。面倒だな、この身体。でも僕の身体といえばコレしかないので、どうにかして上手く付き合っていくしかないのである。当分の間は摂生された生活を送るしかない。

 そんな私の個人的な事情と打って変われば、季節は十分に巡り、籠もった熱から解放された空は澄み渡っている。薄く千切れた細長い雲がぬーっと飛んで去る。一反木綿のように見えて楽しい。夜ともなれば涼しげな風が横町を走り抜ける。薬のせいでぼうっとした頭で、ぼんやりと月を眺めるのも悪くはない。