この社会ではしばしば、「障害者」と「健常者」という二分法を使うが、「健常者」だって結局は、「今は障害のない人」という意味でしかない。年をとればとるほど、障害を持つ人の割合は増えていく。「困ってる人」の問題に真剣に取り組むことは、誰にとっても「保険」になるはずだ。車椅子の人が通りやすい道路は、ベビーカーを押す親にとっても、趣味のフットサル中にケガをしたために松葉杖をつくソフトマッチョにとっても、駅まで徒歩で孫を迎えにいく老人にとってもありがたいものだ。

荻上チキ・飯田泰之著『夜の経済学』扶桑社 2013年 p.189