DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

青空のミジンコ

 子供の頃、例えば河で遊び疲れて土手に寝転んだ時や、両親の仕事を手伝った後に其処彼処に積んであった藁の山に身を投げ出してぼんやりと空を眺めていると、青空を背景にして目の前をミジンコのようなものが横に流れていくのが見えた。微生物を撮った顕微鏡写真を見た時のような、透明な器官を持ちその形状が僅かな影に拠って知覚される生き物。そういうものがいつも決まって左から右に、飛んでいるというより不規則に流れていくようにして見えるのだった。その形も軌跡も違うが繰り返し見える。何となく目の動きに合わせて流れているようにも見える。
 これは一体何なのだろうと考えてはいたが、何となくその話はこれまで誰にも話していない。特に何の害ももたらさないので「不思議な事があるもんだなあ」で済んでいたからだと思うけれど。後年、それは眼球の表面に付着した埃が、涙に流されていく様が見えているのだろうと想像したりしていた。

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 そして今日、人間の眼球について調べていたらそれは実は飛蚊症という疾患であるらしい。

 視界に糸くずや黒い影、蚊のようなものが見え、視点を変えるにつれ、それが動き回る。明るい場所で白いものや空を見た場合によく見える。多くの場合加齢により自然発生する。飛蚊症自体は目の機能に問題はないが、網膜剥離の初期症状や糖尿病網膜症の症状としてあらわれる事もあるので、眼科の受診が必要。
Wikipedia

 一気につまらなくなった。どうせ人体には影響がないのであるなら、この世の不思議としてずっとニヤニヤしていたかった。まあ、網膜剥離や糖尿病網膜症は怖いが。

 僕がそれらを見ていたのは小学生、もしかしたら中学生くらいまで。記憶は曖昧だけれど大人になってからは一度も見ていないと思う。僕には蚊ではなく何故かミジンコに見えたが、ぼんやりと青空を眺める先にミジンコが浮遊しているのは結構楽しいと思うんだけどなあ。また見えるようにならないかなあ。

2 Comments

  1. 私がミジンコを飼うようになったのは、もう30歳をいくつか過ぎた頃でした。
    ヨメも、数匹飼っているような話をしていました。
    子供の頃、机に両肘をついて、両目を掌に強く押しつけると、左右対称の不思議な模様が次から次へと網膜に浮かび上がってくるのが好きでした。

  2.  おや、そうでしたか。随分と大人になってから飼い始めたんですね。大事にしてください。意外と楽しいと思いますので。
     そう言えばそういうのもありましたね。それは大人になってからも見ていました。大体は目が凄く疲れている時で、眼球をぐりぐりとマッサージしている時に見えます。ロールシャッハの絵を極彩色にしたようなトランスアートのような模様でしたよ。しかしこれも今は見えません。試しにさっきやってみたんですがダメでした。

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