DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

メールマガジン「断腸亭日乗」

 というサービスを岩波書店がやってくれないかなぁ、と夢想している。開始時期は、荷風が書き始めたのが1917年(大正6年)9月16日からなので、100周年記念の2017年の同日からでどうだろう。毎朝、前日の日付の荷風の日記が配信され、そしてそれは勿論42年間続く。その間にはインターネットの状況も大きく変わっているだろうし、無謀な気もするが、それだけに面白そうだ。
 
 このサービスを受けて一番喜ぶのは、その年に丁度荷風と同じ38歳を迎えた独身の男性だろうな。100年前に生きていた一人の極めて個人主義の男の毎日を、パラレルな感覚で読み続ける事が出来る。それはとても面白い経験だと思うんだけど、冷静に考えると、そんな物好きは提供する側にしても受け取る側にしても余り居ないのかも知れないな。

4 Comments

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    さすらいびと‐ヴァンダラー

    January 22, 2012 at 10:15

    「敗荷落日」という石川淳のエッセイをおりにふれて読みかえします。晩年の荷風翁の作品をくそみそにけなして、その老惨のしかばねにむちうつエキサイティングなものですが、「敗荷」とは風にやぶれた蓮の葉のことらしいですね… 「小市民」の貧乏くささがあるとして石川は晩年の荷風の日記もけなしております。あたりさわりのない哀悼よりも、かかる憎悪に急接近した愛情がみなぎる文章というのは読んでいておもしろいなと、ふと思いました。
    ともあれその企画を岩波のHPから送信してみるのも、むだではない気がいたします。

  2. あら、何処が気に入らなかったんでしょうね。晩年は確かに言っている事がみみっちくてかなり小市民的ですが、老人とはそんな風になるもので、虚勢を張る元気もなく、寂しく老いていく姿をあからさまにしているのが良いのだと思うのですが。ですが、その辺りに執着して批判してしまう事こそかつての荷風に対する愛情なのでしょうね。

    ところで、荷風全集第二十一巻(断腸亭日乗一巻目)を買ってしまいました。やはり摘録しか読んだ事がないというのは、どうにも中途半端な気がしまして。
    配信の件に関しては、酔っ払って気が大きくなった時に考えてみます。

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    さすらいびと‐ヴァンダラー

    January 23, 2012 at 20:06

    すごいですね!! 「日乗」を精読するとは!!
    ぼくは摘録でさえ中途でほうりだしました…
    つきなみですが、「濹東綺譚」をいま再読中でして、どういうわけかページを毎日いったりきたりしながら、はや1ヵ月がたつのに半分弱も読みすすんでおりません。
    「四畳半襖の下張」もそろそろ手をつけたいところです。

  4. 毎日ちょびっとずつ読んでいれば、いつかは終わるものです。その頃は物語性や情報量の多い文章を読む気が全くなかったので、丁度良かったのですよ。

    濹東綺譚は一度だけでしょうか、読んだのは。映画(新藤兼人監督)を観る事の方が多いです。あの映画は断腸亭日乗も混じっているのですけどね。四畳半襖の下張は読んだ事ないですねぇ。

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