キャシャーンを観た後、朝から何も口にしていない事を思い出し、何か食おうとやんばるに足を運んだのですが、よくよく考えなくても別に腹は減っていない。でも取り敢えずラフテーそばを食った。全然味が分からない。いや味はするんだけど、遠い感じ。脳から興奮が消え去らず落ち着かないので歩く事にした。タワーレコーズとか紀伊国屋とかヨドバシカメラとか無印良品とか何か宛になりそうな場所に足を運んでみたが全て遠い。僕から遠く隔たっている。ますます落ち着かない気分になってくる。その内に夜が降りてきて焦るような気分で僕は尚も歩き続ける。そう言えば ” ロスト・イン・トランスレーション ” について他の人達がどう書いているのか彼方此方読み漁っていた時、スクリーンに映し出される新宿の風景を指して「外国人にはああいう風に見えるのかなあ」という記述を何度となく目にした。そうかな。いつも見ている普通の新宿の姿なんだけどな。僕は上京してこの方同じ風景を見続けている。いい加減に歩き疲れ、これ以上こんな事やっていても疲弊するだけだと思い部屋に帰る事にした。ああ、そうだ。僕は昔、毎日のようにこんな気分で過ごしていたんだっけ。その時のテリトリーは渋谷だったけど。

 部屋に戻ったのは良いが、興奮は鎮まらない。どうして良いのか判らない。しかし放っておけば今夜も眠れない気がしたので、強引に鎮める事にした。最近では滅多に飲まなくなった洋酒、今回はタンカレーを買い込み部屋に着いて直ぐにグラスに氷を入れ飲み始めた。全然酔えない。腹も減らない。煙草だけ吸った。日付が変わる頃にようやく酔いが回ってきたので、その勢いで眠った。

 目を覚ましてみれば幾らか気分は回復していた。しかし身の回りのモノ全てに距離を感じるのは変わらなかった。仕事や生活に支障を来す事は全く無く、平穏に過ごす事は出来たのだけれど、何かしら微妙にズレてしまったような気がする。妙な気分だ。しかしせっかくなので当分の間はコレで行こう。他の映像は暫く観ない方が良いかもな。