DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

人と病

 先日、本屋(実際にはアマゾン)でふと目に止まった、水島広子著『「拒食症」「過食症」の正しい治し方と知識』という本を読んでみた。何故そんな事を思い付いたのかというと、これまでの人生で何人か、拒食症または過食症ではないだろうかと思われる人と僅かながらも付き合いがあったからだが、その時の己の態度に対する反省から、少しでも知っておきたいと思ったからである。その中で気づいた事を二三記す。

 ひとつには、本書は患者のみならずその家族や周囲の人々に読まれるように書かれている。その中で(そうなりがちではあるが)こういったアドバイスや言動は患者にとっては逆効果だ、という事例が幾つか挙げられているが、そのどれもを僕はかつての知人達に言ってしまっていた。しょっちゅう顔を合わせるような深い付き合いではなかったので、尋常とは思えない相手の様子に驚いてつい口に出してしまうのだけれど、確かに無知であった。
 摂食障害の専門医は今を持っても少ないとある。となれば適切な治療方法や、周囲の協力の仕方などに関して知識を持つ人を身の回りに探してもなかなか見つからないだろう。アマゾンでも推されているようなので、この分野に興味を持つ人には手に取りやすくなっているとは思う。しかしそれだけでは全然間に合わないように思う。問題に直面した人が全員、積極的に知識を得ようと書籍を紐解くとは思えない。どちらかと言えば少ないのではないだろうか。患者本人だけでなく周囲の人達にしても、なかなか認めたがらないような気がする。認知する際のストレスを出来るだけ少なくしようと思ったら、例えば摂食障害をテーマにしたテレビドラマを制作して、単発ではなく一定期間をかけて放送するとか、そういう方法が必要ではないだろうか。民放では難しいだろうから NHK で。

 もうひとつは、この本は基本的には患者の不安や心情に寄り添った形で書かれていて、折に触れては周囲の人達が知っておくべき事柄や心構えなどについて書かれている。しかし、周囲の人達に寄り添った記述が足りないように思う。知識も経験も無い人間に、或る日言い渡された通りの対応が出来るようにはなれないと思われる。本書にも触れられているが、患者と共に周囲の人達も自分を見つめ直し、徐々に成長していかなければならないのだろうから。なので別冊にて、今度は周囲の人達に寄り添った形での本があれば良いのではないだろうか。本書を読めば読むほど、患者独りではどうする事も出来ない病気であるように思えるし、医者に任せていればどうにかなるものでもないようだし、周囲の人達の、もっと言えば社会の認知が必要であるように思える。その為にもそういう本は必要ではないだろうか。

 いずれにしても、浅はかな考えであるかも知れない。広く知らしめるという事は、それだけ患者のデリケートな心情を晒してしまう事になりかねないとも考えられる。本書でも、随所に患者へ対する気遣いが窺える。

 最後に、本書でとても気になる記述があったのでそれを引用する。

 私は摂食障害の患者さんを見ると、まるで一家の問題を代表するような形で病気になっていると感じることが少なくありません。ある意味では、もっとも感受性が豊かで、もっとも家族思いの人が、摂食障害になっているのです。
 それを「家族の犠牲者」として見ることも簡単ですが、それ以上の意味があると思います。最も感受性が豊かで、最も家族思いの人は、病気になることによって、家族関係のバランスを変え、やはり家族のためになる結果を出すのだと思うのです。

 そうだとすると、これはもはやシャーマンではないか。これは摂食障害には限らない話のように思う。病という事象に対して、単に悪しきものだという考えを改めなければならないのかも知れない。

2 Comments

  1. 「拒食症」「過食症」そのたもろもろ… およそ外科的な病気しか体験したことがない小生には何もいえぬ分野です。
       ――あいや出しゃばりましたこと寛恕下さりたく候。

  2. その割りには、ペガサスというキャラクタは書けるんですな。

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