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手のひらの気配

  • 2004-09-21 Tuesday 22:47
  • Category - Days
  • Tag -
 いささか朦朧とした気分で帰宅。郵便受けに少し北の方に住む友人から封筒が届いていた。いつもならば表裏の表記は印字だが、今回は珍しく直筆だ。しかも彼の場合、同封されてくるのは言葉ではなく銀色のディスクであるのが殆どなのに、今回は何やらムックリと膨れている。訝しく思いながらも開封してみると、そこには別な友人の膨れた封筒が、メモと共にしっかりと折りたたまれて入れてあった。メモは僕に封筒を贈ってくれた友人の直筆(初めて目にする)で必要最小限の文章。内包されていた別な友人の封筒を開封して出てきたのは画像の阪神煙草。どういうつもりなのか、さっぱりと判らないが何となく笑えた。封筒の中を更に覗いてみると、ひん曲がった葉書と便箋が入っていた。便箋と書いたが実は病院のアンケート用紙だ。彼が入院していた事は知っている。そうか、その時に書いた手紙なんだな。そう考えるととても楽しい。その変わり種の便箋二枚に、見た事があるハズはないが何処か見覚えのあるような筆跡で言葉が綴られている。便箋の最後にはその友人の名が署名されていた。本名の読みは知っていたが、文字を見るのは初めてだ。良い名前だ。
 同じく同封されていた葉書は暑中見舞いであるらしい。そう手紙に書いてあった。クレヨン画だ。

 僕は今、阪神煙草を前に腕組みしている。吸おうかどうしようか迷っているのだ。吸ってしまうのは勿体ない気もするが、僕はそれがどんな高価な物であっても、使わない物を置いておく事に苦痛を感じるタチだ。困った。取り敢えず保留にしておこう。その打ちに良い考えも浮かぶだろう。

 便りの礼を伝えようと思っている。メールを書けば済む問題だが、でも止めた。電子メールはつまらない。タイピングされた言葉は文面以上の何かを伝える事は出来ない。言葉にならぬ何かを伝えたいと思っている場合、その選択はハッキリと役不足である。僕も手紙を書く事にしよう。若しくはそれに代わる何か、確かに気配を織り込める方法で。
          

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