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光を枕に

 キャンデラな夜を過ごし続けている。

 毎晩帰りが遅いので、シャワーを浴びて何か少し食べシャツにアイロンをかけたら、後は酒を呑みながら寝るまでの短い時間をぼんやりと過ごすだけである。一日中蛍光灯の下で過ごしているので、自分の部屋に居る時くらい、その強すぎる光からは逃れたい。今、僕の部屋の中で一番強い光を放つのはこのパワーブックの液晶画面である。とはいえ、僕の部屋は二階に在り、視線を少し上げると表通りの街灯の灯りが目に入る。というより、この部屋の中に差し込んでくる。つまり、遮光カーテンでも持ってこない限りはこの部屋は暗闇にはならないのである。しかしながら、僕は光を通さないカーテンは好きではないので、この部屋は光に晒されない時は皆無だ。
 そんな薄暗い中でも、僕は本を読もうとしてしまう。キャンデラの灯りをよほど近づけないと文字を読めないのだが、僕はベッドに寝転がり、顎と胸でキャンデラを挟み、その向こう側に本を立てて読んでいる。これだと光量は十分だ。勿論読みにくい。しかし眠る前にちょっと読みたいだけなので、さほど不都合はない。読むのが面倒になれば、本を投げ出してそのまま寝てしまう。

 そうそう、この照明器具は底面(電源スイッチ及び充電時の接続部)が少し暖かいだけで、他には熱を持つ事がない。なので、そのまま抱いて眠ってしまっても安全なのである。「光を抱きつつ眠る」という言葉にすれば少々恥ずかしいが、他では出来ない珍しい使い方を提供してくれる。たぶん誰もやらないとは思うけれども。
          

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