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夜の砂浜、横たわる夕顔。

 母から着電。自分の事は殆ど話さずに、母の周辺の話をあれこれと聞く。先日伴侶を亡くした祖母は、変わらずに同じ家に住み続けているという。子供らが「独りで大丈夫ね?」と尋ねても「大丈夫。」と答え、施設に入る事や、子供らの内の何処かに同居する事を静かに拒んでいるらしい。「自分の家ば離れたくないっちゃろね。」と僕。母もそれに同意する。
 それでも母は、齢90を越えた祖母の皺だらけの身体を見て、その老いの姿に少なくない衝撃を受け、祖母の行く末をひどく心配している。頃合いを見計らって話してみるという。

 先月、末の弟が祖父の墓参りの為に一時帰国した。祖母はとても喜んでいたようだ。僕は未だ祖父の墓に参っていない。それもそうだが、祖母の方が気に掛かる。長い年月連れ添った祖父を亡くした祖母は、今どんな気持ちでその家で過ごしているのだろうか。子供らは皆家を出、その内の何人かは病を患っている。日没を眺めるように、静かに自分の生を見つめているのだろうか。暫くの間、祖母の気持ちになって過ごしてみよう、などという馬鹿げた事を思いつく。そんな事が僕に解る訳がないのだ。

 緩やかな雨垂れの音の向こうから、微かに虫の音が聴こえる。
          

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