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November 2004

About a boy / Chris Weitz & Paul Weitz

 High Fidelity に続いて Nick Hornby 原作の映画。父親の残した遺産(印税)の上に乗っかって、仕事や家族にまつわる全ての責任に背を向けて生きている Hugh Grant 演じる主人公が、シングル・ペアレントやその子供と接していくうちに、自分の空虚さに気づき、それを埋めようとやっきになる、という物語。実は僕、シングル・ペアレントという言葉を初めて知りました。日本ではシングル・マザーとかはよく聞くんですが、シングル・ファザーも余り聞かないし、男女を分けずに言い表す事がないような気がします。
 前半部分で、Hugh Grant が演じる主人公の軽薄さが、身につまされるようで、それでいてとても笑わせてくれます。こういう役はこの人しか思い浮かびません。

 この映画を観終わって思ったのは、家族でも夫婦でも恋人でも支えきれない何かというのは確実に存在し、それを抱えて生きている人達は、その時こそ別な「誰か」を必要としているのだろうな。それも本当に切実に。
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私にも妻がいたらいいのに / パク・フンシク

  • 2004-11-17 水曜日
  • Category - Art
  • Tag -
 実際に観る前までは、タイトルからしてもっと、結婚願望の強い男の割と切実な物語だと思っていたのだが、そうでもなかった。勿論そいいう要素は随所に散りばめられているのだが、実際は、観ていて苦笑いの絶えない、そんな映画である。主人公の男女が「ああ、そう思っちゃうよね」「ついつい、そういう事しちゃうよね」的な事を、ほんの少し大袈裟にして次々に見せてくれるので、最後まで飽きない。それに劇的な変化なども皆無なので、気楽に流して観る事が出来る。テレビドラマを観るような気分で、テレビドラマよりも良質な映像を観たい時に丁度良い。
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High Fidelity / John Cusack

 この映画、観ると共感出来る事など山ほどあるし、それが余りにも多すぎるので、その全てに対して何か書こうという気にはなれない。なので僕はたった一つの事柄に対してだけ書こうと思う。その他の事に関してはいずれの機会にでも書くとしよう。

 さて、そのたった一つの事とは、自分が持っている音源のストックから或る目的を持って厳選された「マイ・フェイヴァリット・テープ」の事である。この映画の主人公を含め、舞台となる中古レコード店のスタッフは、任意のテーマに沿った自分の TOP5 を提示し合う。そして時には、気になる女性へ自ら編集したカセットテープをそっと手渡す。これは、実際にやった事のある人でないと解らないと思うが(勿論僕もその一人)、本気でそれを作ろうとすれば本当に一日仕事である。朝、選曲する事から始めて、カセットテープのAB両面を埋める頃には既に陽が暮れているという感じだ。下手すりゃ夜中になってもまだやっている。端から見れば狂気の沙汰に思えるだろうが、本人に至っては疲れさえ感じる事もなく没頭している。ダヴィングの間中、彼等は常に興奮状態にあるので、気にならないのである。何も好きな曲を並べれば良いものではない。在る一曲を限りなくドラマテイックに演出する為の捨て曲も在る。一本のカセットテープの中で一つの物語を作ったりする。それはそれは途方もない努力が必要なのである。

 この映画の原作となる Nick Hornby の本は、Amazon で見る限りではペーパーバックが2000年に発売されている。原作を読んでいないので詳しくは判らないが、21世紀になってもまだカセットテープを使っている事が少し不思議に思えて、何故だろうと少し考えていた。思いついた。いや、実際にこの映画や原作がその事を考慮して描かれているのかどうかは判らないけど。MD や CD-R では出来ない事は一つある。(デジタルでも本格的な機器を揃えれば出来るとは思うけど)それは曲間の間合いを作れない事だ。僕が作っていた時には(もう何年も作ってないけど)前曲の最後の一音と後曲の最初の一音をどう繋ぐかに最大限の注意を払った。勿論、曲間の無音の部分の長さも重要だ。盛り上げたい場合には、きちんとテンポを計って繋ぐ。センチメンタルな曲の後に、それを振り払うようなアップテンポの曲を持ってくる場合には、十分に余韻が消えるまで引っ張って、それから一気に突き上げる。そんな小細工が出来るのは、一般の機器ではカセットテープだけではないかなあ、と思ったのである。素晴らしい。カセットデッキを捨てなくて本当に良かった。

 またしても、紹介しているモノにはあまり関係のない話で埋めてしまう私のレビュー。それでも、最後に一つだけ付け加えるなら、自分が編集したカセットテープを渡した女の子と、その後上手いこと行った事は一度もない。取り敢えず喜んではくれる(気に入るように作っているのだから当然と言えば当然)が、いつの場合も、それだけである。
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