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January 2006

皆月 / 望月 六郎

 花村萬月の原作には全く無かった「肩を噛む」という行為が気になる。それは何も原作と違う事を気に病んでいる訳ではなくて、それがどういう心情を現しているかについてだが。冒頭での徳雄と沙夜子との風呂場で交わる場面と、最後の沙夜子とアキラとの抱擁の場面に出てくる。原作の中に「人間の性は、性欲を発散するためでもなく、子孫を残すためのものでもない。性の根源にあるのは、孤独だ。この世界にたった独りでいることに対する不安だ。」という行が出てくる。だとすれば、その性行為の中に自ずと孤独感を拭い去ろうとする仕草が現れてくるのではないだろうか。勿論、望月監督がどういう意図で肩を噛むという行為を映像化したのかは私には解らない。ただ、相手の身体に自分の一部を沈め、食い込ませようとする行為は、相手を支配しようとしていて、反対にそれを相手に求めるのならば、相手に支配されようとしているとか、そういう希求に繋がるような気がしてならない。詰まりは、救われようとしているのかも知れない。

追記 : 2006.02.02 「支配」という言葉は強過ぎるし、少し違うような気がしてきた。何となく陳腐だし。不安を埋める為の行為だとすれば「同一化」というのが近い気がする。それか、受け手に限って言えば、痛みを伴わないと確認出来ない大事なモノがあるとか。

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Silent Snow Stream / Cornelius

 雪をモチーフにした曲と言えば、僕はこの曲を思い出す。Cornelius の1st アルバム「 The First Question Award 」に収められた「 Silent Snow Stream 」。小沢健二の書く詩はかなり好きだが、小山田圭吾の書く詩は余り好きではない。しかしこの曲の詩は好きである。楽曲で言うのなら小山田圭吾の作る曲の方が好きなのだが。

昼過ぎに聞こえるヘリコプターの音を
僕は聞きながら悪い夢ばかり見てる

遠く吸い込まれるいらだちの声
きっと正しいのはこの世界だけだろう

真夜中にゆっくりと降り出した雪の中へ
僕達の声が消えてく
降りそそぐ 静かすぎる雪の中へ
 いつ頃までだろうか。昔は、全ての事を知らなければ気が済まなかった。今はもう、それはない。知ろうとすればする程、何処かで誰かの悪意らしきもの(若しくはそう思えてしまうもの)に突き当たる。とても嫌な気分になるし、暫くその事に捕らわれてしまう。つまりは、猜疑心の塊となり、何もかもから距離を置いてしまうようになるのだ。もうそんな事はしたくない。どうせ全てを知る事が出来ないのであれば、何も知らない方がマシだ。

 負の感情は、それを受けた者にも負の感情を芽生えさせ、やがては連鎖を生む。

 雪の降る日は、出来れば微かに光を残す空であって欲しい。空を見上げ、その先に見届ける物が無いにしろ、その視線を吸い込めるだけの色は蓄えていて欲しいのである。

はぐれメタル魔神斬り@日本武道館 / くるり

 くるりのライヴは、2000年の 2nd アルバム「図鑑」のツアー「世田谷線旧型車輌を残そうキャンペーン」の一環で、渋谷公会堂で観た時以来だ。当時はツアーメンバーも三人きりで、ぎりぎり目一杯の演奏であったが、今回は5人。勿論曲目も違うが、以前とは違う落ち着きを感じた。演奏スタイルはさほど変わってはいなかったのだが、より流麗になった気がする。
 アルバム「NIKKI」について書いた時、僕はくるりは岸田繁のワンマンバンドだと書いたが、ライヴを観るとその考えが覆されるような思いだ。あの5人が揃わなければ、あの演奏は実現出来なかっただろう。5人きっちり揃った上でのロックンロール・バンドだった。ロックンロール・バンドだなんて書くと、酷く時代錯誤な印象も受けるが、本当にそんな感じだったのだ。
 一応、何処からか拾ってきたセットリストを書いて置こう。まあ、誰かしら書いているものだ。
  • お祭わっしょい( 6th Album -Nikki- )
  • Ring Ring Ring !( 6th Album -Nikki- )
  • Long tall sally( 6th Album -Nikki- )
  • Superstar( 6th Album -Nikki- )
  • Bus to Finsbury( 6th Album -Nikki- )
  • Morning Paper( 5th Album -Antenna- )
  • Baby, I Love You( 6th Album -Nikki-
  • Army( 4th Album -The world is mine- )
  • Tonight is the night( 6th Album -Nikki- )
  • Birthday( 6th Album -Nikki- )
  • ハイウェイ( Soundtrack -ジョゼと虎と魚達-)
  • ばらの花( 3rd Album -Team Rock- )
  • 虹( 1st Album -さよならストレンジャー- )
  • 青い空( 2nd Album -図鑑- )
  • 水中モーター( 4th Album -The world is mine- )
  • ワンダーフォーゲル( 3rd Album -Team Rock- )
  • ( It's Only ) R'n R Workshop !( 6th Album -Nikki- )
    【 Encore 】
  • 赤い電車( 6th Album -Nikki- )
  • 尼崎の魚( 1st Single B-side )
  • 東京( 1st Album -さよならストレンジャー- )
  • 街( 2nd Album -図鑑- )
 「Superstar」はアルバムで聴いている時からライヴ向きな曲だなあ、と思っていたのだが、やはり良かった。ギター一本のイントロ医から満を持したようにバンドが動き出すのが格好良い。「Baby, I Love You」は、今のアルバムだと一番キャッチーだと思っていたので、みんなで合唱するようなベタな盛り上がりをするのかと思っていたら、バンドの演奏もあっさりしていたし、客の反応もそんな感じであった。「ハイウェイ」「ばらの花」「青い空」を聴けたのが嬉しかった。「赤い電車」はライヴでは演らないだろうと思っていたら、しっかりとバンドで演奏した。「尼崎の魚」この曲は唯一聴いた事がなかった。などなど。

 非常に個人的な事を書くと、僕は日本武道館で「東京」を聴くのを楽しみにしていたのだ。念願が叶って嬉しい。そして何より、ラストに「街」である。びっくりだ。ヴォーカルで始まる曲だが、岸田繁が歌い出した途端、不覚にも泣き出しそうになってしまった。声は裏返り、酷く掠れているにも関わらず、岸田繁は更に声を張り上げる。気が付けば僕も一緒に声を張り上げていた。何度目かのサビのフレーズで、掠れていた岸田繁の声がくぐもりを見せ、次の瞬間突き抜けた。
 すっかり落ち着いたと思ってたら、今でもこんな曲が歌いたかったんだ。何だかとても嬉しい。

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