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June 2004

花と甲羅

  • 2004-06-30 Wednesday
  • Category - Days
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 帰り道。線路沿いの屋台の赤提灯の下に、同じマンションに住む女が座って酒を飲んでいるのを見かけた。屋台のオヤジは嬉しそうに相手をしている。週に一度、この光景を目にする。時折、この屋台の常連らしき老いた男が同席している事もあるが、何れにしても彼女は何くれとなく男達の世話を焼いている。老男が帰ると言い出せば「そんな事言って、帰る家あんのー?」などと引き留めたり、屋台のオヤジにタオルや灰皿を手渡しながら話かけたりしている。そのうちに彼女が屋台を手伝ったりするのではないか、と内心思っている。そんな光景を見遣りながら、僕は横を通り過ぎているのだが、たまにふと、彼等の中に割り込んでみたくなる。しかし、だ。彼等の間には既に完成された何かがあるような気がしてならない。例えば赤と緑の補色の関係のような。僕がそこに割り込んでしまえば、補色でバランスを取った画面構成の中に不躾な色を混ぜるようなものだ。捨て色になるつもりもないし。僕は黙って通り過ぎるべきである。

Billy the bop smokers

  • 2004-06-28 月曜日
  • Category - Days
  • Tag -
 ハロゲンのスポットなんか点けてると熱くて仕方がない。夜になって酒を呑み始めると元気になって来るというのは、よくない兆候のような気がする。そもそも殆ど何も食べずに酒と煙草だけで過ごしているのがマズい。蕎麦でも食べようかな。あ、でもさっき歯を磨いてしまったし。というか、さっきまで今日は27日だと思い込んでいた。・・・さて、これから何をしようか。扇風機の風に煽られ、煙草の煙は漂う暇も無く吹き消される。

負け犬のバラッド

 相手の女性の事も、その女性の相手の事も今でもハッキリと覚えてはいるのですが、それ書くと悲壮感漂うテキストになってしまうので書きません。適当に誤魔化しつつ書く事にします。その時の僕はよほど切羽詰まった顔をしていたのでしょう。相手の女性は幾分怯えていたようです。それでも信じられないくらいに冷静な声と言葉で拒否された夜、僕は例の行動に出た訳であります。

 その時何故 Doors を選んだのかは自分でもよく解りません。その当時(凡そ10年前)は、それまで英米のロック・ミュージックかブラジリアンかキューバンの音楽、若しくはクラシックしか聴かなかった僕が、仕事場の同僚の影響で邦楽を聴き始めた頃だったと思います。Doors を選んだのは一番馴染みがあったからでしょうかね。とにかく周囲を憚る事なくシャウトする必要が在ったので Doors はうってつけだったのです。
 あれ。・・・考えてみれば僕は今でも The Doors のアルバムはアナログでしか持っていません。という事は・・・・半泣きのままで、ジャケットからビニール盤を指が盤面に触れないように取り出し、丁寧にブラシで盤面を拭い、ターンテーブルの上にそうっと置いてから、これまた細心の注意を払いながら針を落としていたのでしょうか。しかも 1st のA面が終わればB面へ、それが終われば 2nd のA面へと・・・そんな事をやっていたのでしょうか。おかしい。おかしいけど、どう考えてもそうしないと聴けないハズです。その姿を想像すると笑えます。何をやっているのでしょうか。

 勿論その時の僕は素面ではありません。帰りに酒屋に寄っています。ビールやワインではお話にならないし、第一酒を味わいたい訳ではないのです。しかも Doors 聴くつもりなんですからウィスキーしかあり得ません。しかも米国製の。しかしジャック・ダニエルズやワイルド・ターキーは高いし、フォア・ローゼスは売り切れてました。残るは・・・残っていたのはジム・ビーム。洒落ではありませんよ。選択肢が少なかったのです。仕方ないじゃないですか。

 そんな感じでジム・ビームをラッパ飲みしながら、Doors でシャウトしていた訳です。こんなにも悲しい酒を呑んでいるのですから、今夜は朝になるまで呑んでドロドロの体で死んだように眠るのだろうと思っていましたが、予想に反して午前1時になる前には急激な眠気に襲われ、慌ててビニール盤を元在った場所にキチンを仕舞い、ターンテーブルの電源を落としてから眠ったようです。実に健康的です。普段と何ら変わりはありません。それまで僕は、自分は結構感情を引きずるタイプだと思いこんでいたのですが、翌朝の私はスッキリと目が覚め、何事も無かったような顔で仕事に出かけました。ま、言ってみれば儀式みたいなもんですかね。この事にはこれ以上時間もエネルギーも費やしたりしませんよ、という。拍子抜けするほどに醒めてますね。

Persian & Turkish Restaurant " ZAKURO "

  • 2004-06-20 日曜日
  • Category - Days
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 谷中銀座の入口(夕焼けだんだんの手前)の左側に在るビルの地下1階。あまり入口には見えない入口を潜れば、ペルシャ絨毯を敷き詰めたホール(と呼ぶのかどうかは・・・)が広がる。テーブルは30mmの木板が直接絨毯の上に鎮座している。つまり椅子は無い。絨毯の上に直に胡座をかいたり横座りしたりするのだ。しかも何故か客は全員民族衣装を身に纏っている。一瞬、何だかもの凄い場所に足を踏み入れてしまった気がしたが、気にしない事にした。同行した女性も異存はないようだ。取り敢えず席につき、メニューを拡げて物色していると、日本人の給仕さんが「メニューで選んで頂いても結構ですけど、コースの方がお得ですよ。食べきれないくらいの種類が出て来ます。」とおっしゃるのでそれに決めた。直ぐさまチキンスープが運ばれて来た。持って来たのは中東の出と思しき兄ちゃん。甲高い声で料理の説明をしてくれます。この人。給仕してくれるのは良いが、フザケた事しか言わない。女性客に対して「お嬢ちゃんたちーい!ナンも男もお代わり自由だからねー!」とか「生まれ変わったらー、プロポーズしていーいー?」とか「一緒にトルコにいこーう!」とかとか。本当に五月蠅い。が、オモロイ。一方男性客に対しては「まだ居るのー!コレ食べたらとっとと帰っちゃってー!」とか言いやがる。実に接客姿勢のハッキリした御仁である。しばらくすると、信じられない事に何処からか民族衣装を取り出して来て「これウズベキスタンの花嫁衣装ねー。そんな格好したんじゃ食べさせないよー?コレ着て!」とか言って、半ば強制的に着せられる。なるほど。どうりで。

 しかもこの兄ちゃん、お茶(此処ではシナモン茶か紅茶)を頼むと「仕事増やさないでよー。僕はフザケるのが仕事なんだからー!」とか言うし、「コレ、ウスベキスタンの料理。詳しくは知らないから聞かないでねー!」とか自分の責任範疇をよくわきまえていらっしゃる。天井には何故かミラーボールがキラキラと輝き、店内の BGM はアラビックのトランス系。もう本当に・・・テンションが高すぎるって。

 あ、肝心の料理の事を書いていませんでした。この店はペルシャ・トルコ料理と銘打っていますが、前述のようにウズベキスタンの料理も出します。基本的な食材は羊・山羊・鶏・豆類・トマト・乳製品です。今まで口にした事のない料理ばかりですが「これはさすがに食えない」とうようなモノはなく、なかなかに美味しい。一皿一皿は少なめだが、何しろ種類が多い。本当に食べきれない。軽く15皿は出て来る。後でチラシを見てみれば「食べきれないコース、2000円。食べきれない・飲みきれないコース、3000円」と在る。・・・2000円!二人で食べて3分の1は残してしまうくらいの料理が2000円なのです。うーむ。あ、因みに3000円の飲みきれないコースはアルコール・ドリンクが飲み放題な上にデザート付きで、水煙草まで吸わせてくれるみたいです。興味のある方は是非どうぞ。3〜4人で行く方が良いかと。夜行けばベリーダンスが観れます。あ、でも、心に余裕の無い人には不向きかも知れません。

 追記:反応を頂きました。アクセスに関してもう少し書いておきましょう。JR・京成線日暮里駅で降り、改札を抜けたら谷中墓地側の出口へ向かって下さい。出たら、墓地へ入らずにそのまま真っ直ぐに谷中銀座へ向かいます。出口の近くに周辺の地図が在るので、それで確認するのが良いでしょう。左右に寺や商店を見遣りつつ真っ直ぐ歩いていると、やたらとPOPを貼った怪しい感じの漢方薬屋(?)が左側に在りますが、それを通り過ぎると同じく左側に非常に場違いな看板・メニュースタンドが在るので直ぐに判ると思います。考えてみれば非常に貴女向きな店ですね。因みに6月6日に、二階へパレスチナ・レストランを開いちゃったらしいですよ。

Blood-type O

 僕(と母)の母子手帳には、何故なのか知りませんが、僕の血液型が記載されていませんでした。なので実は僕、中学の時に献血するまで自分の血液型を知らなかったのです。その当時は自分の性格が母に似てると思っていたので、たぶん " B型 " だろうな、と思っていた訳です。しかしながら血液検査の結果を見れば " O型 " でした。父と同じ血液型です。「えー!何処がー?」とかなり違和感を覚えたのを記憶しています。それから暫くの間、僕は自分の血液型に微妙に納得出来ないまま過ごしておりました。しかし、やがて僕は自分の実際の血液型としぶしぶ折り合いを付ける事にしました。事実は変えられませんからね。 " 限りなくB型寄りのO型 " こんな苦し紛れの奇策で自分を納得させたのでした。いやしかし、今思えば、この折り合いの付け方自体が既に " O型 " 。

 こんな僕ですが、誰かと血液型の話題になると、ほぼ8割の確率で " A型 " だと言われたりします。理由を尋ねてもハッキリとした答えは返って来ません。しかし僕は " A型" に見えるらしいです。更に同じ確率で「姉ちゃん居るでしょ?」とか言われます。残念ながら我が家は男三兄弟で、しかも僕は長男です。出来る事なら姉が欲しかった。24歳くらいの。ついでに書いてしまえば今でも姉が欲しい。24歳くらいの。

真夜中をぶっ飛ばせ

  • 2004-06-06 日曜日
  • Category - Days
  • Tag -
 昨夜は午前零時近くになってから散歩に出かけました。夜の空気が気持ち良かったもので何となく自転車を漕ぎ出してしまいました。実は昨日は夕方から深夜まで仕事をしていたので、そのストレスでしょうか。無性に走りたくなったのです。そんな時間でも人通りは多少あるし車も走っています。店なんかは既に店仕舞いした後なので、いつもの夜の風景とは少し違います。そんな中を僕はてれてれと自転車を漕ぎながら徘徊しておりました。江戸川の堤で出て、対岸の住宅や街灯の灯りを見やりながら自転車を走らせます。遠くから微かに揺れる白い点がだんだん近づいて来て、やがてそれが自転車に乗った人だという事に気付く。妙に緊張してしまう。すれ違い様に光は最大になり人の姿を認めるとすぐにまた闇が覆い被さってきます。独りは独り、なのです。お互いに。

 そんな事を何度か繰り返しやがて飽きて来たので街中へ向かいました。居酒屋・パブ・キャバクラ・スナック・コンビニ。人々の欲望をかき立てるのは、その種類は様々であれ、闇に浮かぶ光であると思います。

 遠目に彼方此方を冷やかすのにも飽きたので部屋へ戻る事にしました。時計は午前2時を示しています。この時間では更に人は減り、車も減ります。たまに通る深夜割り増しのタクシーを除いては、動きのある物体がありません。とか思っていたら女の子が一人で歩いていました。普通に危ないと思うんですけど、どうなんでしょうかね。僕は歩道ではなく車道を走り、目一杯漕いで勢いをつけ、右へ左へと蛇行して遊びました。今、この道路は僕の物です。わはは。それから僕はふと思いつき、ハンドルから手を離してみました。少し不安定でしたがそれでも真っ直ぐに自転車は走って行きます。手放し運転なんて何年ぶりでしょうか。何の意もなく走り去る行為に、僕は半ば陶酔していました。波に乗るのも、確かこんな感じだったように思います。これがずっと続かないかなあ、とか思っていてもやがて自分の部屋に着いてしまうのは疑いありません。僕はハンドルに手を戻し、減速した後、車体を倒し左に曲がりました。

空中庭園

  • 2004-06-04 金曜日
  • Category - Days
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 4階建てのビルの屋上で、欄干に身を預けながら煙草をくゆらす。蒼と白のコントラストが高くて透明度の高い空。強い陽射しが頭の中を溶かしてくれて気持ちが良い。見渡せば、大凡5階建てか6階建てのビルが多く、最上階には判で押したように各々のビルオーナーの住居が鎮座している。加えて一様に広いベランダが設けてあり、住人が思い思いの箱庭を凝縮させている。数十種類の植物を育てていたり、自転車を置いていたり、窓辺には雪見障子がはめ込んであったり、場合に拠ってはお稲荷さんが奉ってあったりする。その様はまるで市井をそのまま上空に持ち上げたようだ。東京都心の上空には路地が巡っている。アスファルトとコンクリートとアルミとステンレスと鉄とガラスでササクレだった空間の上では、水端の湿り気を帯びた営みが今でも繰り返されている。

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