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November 2004

東京下町 Night Walker - Reprise

 そう言えば、一昨日の夜歩いたのは23時近くで、その時間になるとさすがに道を歩いている人は殆ど見かけない。しかも江戸川の土手なんか誰も居ない。すぐ側の車道を車が時々走り過ぎて行くくらいである。その車道は土手のサイクリングロードよりも低い位置を走っているので、必然的に街灯も低く、微妙な高さを照らしている。

 暫くの間、南に向かって歩いていると、風に乗って何処からか女の歌声がかすかに聞こえてくる。最初、演劇部か何かの発声練習かと思ったのだが、どうも違う。声には震えるようなヴィヴラートがかかり、声量がハンパではない。声楽をやっている学生が練習でもしているのだろうか。河川敷の向こう側、つまり川の方から聞こえる。もしかしたら対岸かも知れない。想像して貰えると分かると思うが、暗闇の中からそんな声が聞こえてくると、ちょっと怖い。
 その声が気になりつつも、更に南へ歩こうとする僕の目に、一つの人影が見えた。サイクリングロードをゆっくりとこちらへ歩いてくる。だんだん近づいて来て、その人影が男だと分かった。更に近づいて、5mの距離までくると、それがイタリアかスペインか中東かインド辺りの彫りの深い顔立ちである事が見て取れた。20代の若者で、俯いたまま歩いている。足取りは重く、酷く落ち込んでいるようにも見える。先ほどの歌声は未だ途切れ途切れに聞こえている。若者はうなだれている。そしてその他には僕以外に誰も居ない。何だかもの凄い予感を含んだ場面に出くわした感じである。

 結局その後は何事も無く我々は擦れ違い、それぞれの世界の在るべき場所へ歩き進んで行ったのであった。こういう事があるので真夜中の散歩は面白い。怖いけど。

東京下町 Night Walker

  • 2004-11-04 木曜日
  • Category - Days
  • Tag -
 何もする事が無かったので歩いて来た。

 今朝は10時頃に目覚め、それから何か食べたり、メールやコメントのレスポンスを書いたり、何やら色々やっていたら、気付けばもう既に夕方だった。置いてきぼりにされた気分である。それに加えて、僕の住んでいるマンションは現在、外装の改修工事をしており、窓という窓は外側からしっかりと養生されてしまっている為に窓が開けられない。非常に閉塞感を感じる。やがて陽は落ち、辺りが暗くなってくると寂寥感さえ感じるほどだ。そんな風に部屋でじっとしているとやたらと気が滅入ってくるので、今夜観るヴィデオでも借りるついでに散歩でもして来ようと出かけた訳なのです。が、しかし、観たいヴィデオは全て無く、滅多にお目にかかれないほどの徒労感を味わい、とぼとぼと部屋に戻って来たは良いが、本当に何もする事がない。いや、探せば何かあるのだろうけれど、したい事が何も思いつかなかったのである。夜の帳は既に下ろされ、僕の行き場は何処にも無い。

 そんな鬱々とした気分で、僕は「今日は俺何やってたんだっけなあ」なんて事をぼんやり考えていると、今日は何故かしら体調が余り思わしくなく、そう言えば歩いている時が一番自分のカラダの居心地が良かった、という事に思い当たりました。なるほど。歩いていれば気分は良くなるのだ。そう考えると居ても立ってもいられなくなり、スウェットパンツを穿き、ウィンドブレーカーを被り、スニーカーを履いて、夜の町へ飛び出したのであった。

砂漠に滴る花のよう

  • 2004-11-01 月曜日
  • Category - Days
  • Tag -
 イラクの武装勢力組織に拠る日本人拉致、そして殺害。これにまつわる(周囲の)情報を知りたくなかったので、テレビも見ないし、ネットでも関連する記事は読まない事にしていました。たまたま読んだ関連する記事に、無駄に感情的なコメントを書いてしまって、その事がとても悔やまれます。そんな事を繰り返したくないし、ここのところ不安定な気分で毎日を過ごしているので、そういった負の感情に押し流されて、深淵を覗き込む事になるのが嫌だったのです。
 しかし、犠牲者の彼が、一体何を思って現地へ行ったのか。その事をつい考えてしまいます。想像を絶する暴力の空気に触れなければ、自分を確認する事が出来なかったのでしょうか。退屈だったのかも知れません。居心地が悪かったのかも知れません。日本という社会を憎んでいたのかも知れません。彼は自分という存在を持て余していたのでしょう。僕の勝手な想像に過ぎませんが、そんな風に思います。

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