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DOG ON THE BEACH

参議院選挙には甘い果実を添えて

 昼一で行って来ました。黄色いTシャツにカーキ色のパンツにサンダル履きで、近所の小学校まで。前回の衆議院選挙の時には有権者の近所の住人の人々が投票を並んで待っているほどだったのですが、今回は僕を含めて5人くらい。雨も降りそうだったし、皆午前中に済ませてしまったのでしょうか。

 比例代表制の名簿に喜納昌吉の名前を見つけました。そう言えばそんな事言ってたっけな。僕はこの人の名前を見ると、ずっと以前に何処かで読んだ逸話を思い出します。かなりうろ覚えですけどね。
 地元でミカドというクラブを経営していた彼は或る日、沖縄県警の摘発を受ける。麻薬不法所持。当時大麻がクラブ内に蔓延していたという。しかし彼は独りで罪を背負い、沖縄刑務所へ入獄する。同年に沖縄は日本国へ復帰する。しかし当時の仲間は誰一人として面会に来なかった。それどころか皆姿を消してしまった。彼は仲間に裏切られ、絶望の淵から突き落とされる。獄中での彼は哲学書に救いを求めたという。翌年、出所。それから数年後に彼は " 喜納昌吉 & チャンプルーズ " を結成する

 僕は彼の作る音楽に心酔している訳でも、彼の活動に諸手を挙げて賛同している訳でもない。しかしこのエピソードが、彼を何処ぞで見かけた際にはいつも思い出される。どんな男なのだろう、とその事だけをいつも考えている。

Masquerade

 今朝は陽射しが強いせいか、車窓にはブラインドが引いてあったので荒川の景色を眺める事が出来なかった。そんな日も在る。加えて書くなら、今朝はいつもの美人を一人も見かけなかった。そんな日も在る。口を開けて居眠りしている40男のドラえもん柄のネクタイを眺めてもさして楽しくはない。そんな中思い出した事が一つ。今年になってからは見かけていないが、時々アイマスクを付けて寝ている男を時々見かけていた。こちらも40過ぎくらい。いつも黒のスーツを着ていて、体格が良く、肌は白くつやつやしていて、禿げていた。そんな男が完全遮光のアイマスクをつけている姿は何処か異様だ。僕なんかはそこから色々な事を想像してしまう。仕方がない。どう考えても朝には似合わない雰囲気なのだ。ハーネスでも付けているのではないかと、襟元を見てみるのだが首には何も巻いていないようだった。たまにこういう人が居ると楽しいんだけどな。暇潰しになる。

Arakawa River

 僕が毎朝乗る電車は荒川を越えて都心へと向かいます。もう長い間、数千回もその光景を見ている訳ですが、最近になって今までになく熱心に眺めています。河岸に寄せられた小型の船舶が数隻。河川敷を犬を連れて歩く老人。土手のサイクリングロードをタオルを首に巻いて走る年配の女性。等々の光景が毎日少しずつ違った形で見る事が出来る。確かに同じ川である事には違いないが、その日の天候に依って印象は様々だ。それらを毎朝確認するような感じで、僕は密かな楽しみとしている。例え気に入った本を読んでいたとしても、電車の先頭車両が鉄橋に差し掛かると僕は頁から顔を上げ、川面に視線を向ける。たまに、カモメが水面すれすれの高さで飛んでいるのを見かける。彼等が描く緩やかな曲線に見とれている内に電車は鉄橋を渡りきってしまう。そして僕は再び頁に目を落とす。やがて、電車は地下の暗がりへとその銀色の車体を滑り込ませる。

Tokyo Straw Life

 今日は朝から熱っぽく、それでいて午後から六本木・恵比寿・青山を歩いたので、途中何度も休まなければなりませんでした。アスファルトの上、シャツを汗で汚しながら歩く僕は、自分の身の上をほんの少し案じたりしましたが、どちらに転んでも結局大した事はなさそうなので考えるのをやめました。東京メトロ日比谷線。もう放課後の時間なのか、何処かの女子高の生徒達がたくさん乗り込んで来る。僕のすぐ側に立った三人組は、これから渋谷にでも出るのだろう、一様にスカートをたくし上げ短くしている。彼女達の即席の戦闘服だ。電車が揺れ、その内の一人の子がバランスを崩し僕に寄りかかってきた。「すみませーん。」よそ行きの声で見上げてくる。反応するのが面倒で、僕は気付かない振りをした。外界を遮断するつもりはなかったが、行動の稚出さが癪に障る。薄暗いコンクリートの壁を眺めるのに飽きた僕は、鞄から本を取り出し読む事にした。現在、恵比寿駅内にある本屋で買った、吉田修一の " 最後の息子 "を読んでいる。

花と甲羅

  • 2004-06-30 水曜日
  • Category - Days
  • Tag -
 帰り道。線路沿いの屋台の赤提灯の下に、同じマンションに住む女が座って酒を飲んでいるのを見かけた。屋台のオヤジは嬉しそうに相手をしている。週に一度、この光景を目にする。時折、この屋台の常連らしき老いた男が同席している事もあるが、何れにしても彼女は何くれとなく男達の世話を焼いている。老男が帰ると言い出せば「そんな事言って、帰る家あんのー?」などと引き留めたり、屋台のオヤジにタオルや灰皿を手渡しながら話かけたりしている。そのうちに彼女が屋台を手伝ったりするのではないか、と内心思っている。そんな光景を見遣りながら、僕は横を通り過ぎているのだが、たまにふと、彼等の中に割り込んでみたくなる。しかし、だ。彼等の間には既に完成された何かがあるような気がしてならない。例えば赤と緑の補色の関係のような。僕がそこに割り込んでしまえば、補色でバランスを取った画面構成の中に不躾な色を混ぜるようなものだ。捨て色になるつもりもないし。僕は黙って通り過ぎるべきである。

Billy the bop smokers

  • 2004-06-28 月曜日
  • Category - Days
  • Tag -
 ハロゲンのスポットなんか点けてると熱くて仕方がない。夜になって酒を呑み始めると元気になって来るというのは、よくない兆候のような気がする。そもそも殆ど何も食べずに酒と煙草だけで過ごしているのがマズい。蕎麦でも食べようかな。あ、でもさっき歯を磨いてしまったし。というか、さっきまで今日は27日だと思い込んでいた。・・・さて、これから何をしようか。扇風機の風に煽られ、煙草の煙は漂う暇も無く吹き消される。

負け犬のバラッド

 相手の女性の事も、その女性の相手の事も今でもハッキリと覚えてはいるのですが、それ書くと悲壮感漂うテキストになってしまうので書きません。適当に誤魔化しつつ書く事にします。その時の僕はよほど切羽詰まった顔をしていたのでしょう。相手の女性は幾分怯えていたようです。それでも信じられないくらいに冷静な声と言葉で拒否された夜、僕は例の行動に出た訳であります。

 その時何故 Doors を選んだのかは自分でもよく解りません。その当時(凡そ10年前)は、それまで英米のロック・ミュージックかブラジリアンかキューバンの音楽、若しくはクラシックしか聴かなかった僕が、仕事場の同僚の影響で邦楽を聴き始めた頃だったと思います。Doors を選んだのは一番馴染みがあったからでしょうかね。とにかく周囲を憚る事なくシャウトする必要が在ったので Doors はうってつけだったのです。
 あれ。・・・考えてみれば僕は今でも The Doors のアルバムはアナログでしか持っていません。という事は・・・・半泣きのままで、ジャケットからビニール盤を指が盤面に触れないように取り出し、丁寧にブラシで盤面を拭い、ターンテーブルの上にそうっと置いてから、これまた細心の注意を払いながら針を落としていたのでしょうか。しかも 1st のA面が終わればB面へ、それが終われば 2nd のA面へと・・・そんな事をやっていたのでしょうか。おかしい。おかしいけど、どう考えてもそうしないと聴けないハズです。その姿を想像すると笑えます。何をやっているのでしょうか。

 勿論その時の僕は素面ではありません。帰りに酒屋に寄っています。ビールやワインではお話にならないし、第一酒を味わいたい訳ではないのです。しかも Doors 聴くつもりなんですからウィスキーしかあり得ません。しかも米国製の。しかしジャック・ダニエルズやワイルド・ターキーは高いし、フォア・ローゼスは売り切れてました。残るは・・・残っていたのはジム・ビーム。洒落ではありませんよ。選択肢が少なかったのです。仕方ないじゃないですか。

 そんな感じでジム・ビームをラッパ飲みしながら、Doors でシャウトしていた訳です。こんなにも悲しい酒を呑んでいるのですから、今夜は朝になるまで呑んでドロドロの体で死んだように眠るのだろうと思っていましたが、予想に反して午前1時になる前には急激な眠気に襲われ、慌ててビニール盤を元在った場所にキチンを仕舞い、ターンテーブルの電源を落としてから眠ったようです。実に健康的です。普段と何ら変わりはありません。それまで僕は、自分は結構感情を引きずるタイプだと思いこんでいたのですが、翌朝の私はスッキリと目が覚め、何事も無かったような顔で仕事に出かけました。ま、言ってみれば儀式みたいなもんですかね。この事にはこれ以上時間もエネルギーも費やしたりしませんよ、という。拍子抜けするほどに醒めてますね。
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