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DOG ON THE BEACH

国立科学博物館付属自然教育園

 植物に囲まれないと堪えられない(この感覚は非常に理解し難いと思うが)と思い、先々週JR目黒駅に近い国立科学博物館付属自然教育園に行って来た。



 これまで東京に在る植物園と言えば都立夢の島熱帯植物園東京大学大学院理学系研究科付属植物園(小石川植物園)などは時折訪れていたのだが此処には初めて来た。隣の東京都庭園美術館には来た事があったのだけれど。



 敷地は広くそして開けた場所も少ないので、敷地の端に寄らなければ森に遮られて周囲に建つビルなど全く視界に入って来ない。森の中を歩き回っていてふいに空を見上げて「あれ、此処は何処だっけ」という感覚に陥る事が頻繁に有る。森林や湿地を歩いていると色々な懐かしい匂いがしてくる。樹木の匂い・落ち葉の匂い・草の匂い・池の匂い・土の匂い。かつての僕は一体何処でこのような匂いを嗅いでいたのかまるで判然としないのだが、とにかく不可思議で安心する。そして遂には此処に住みたいとさえ思うのであった。

小菊

 暫く前に、ラジオに出ていた假屋崎省吾が「最近の菊はいろんな種類があって綺麗なんですよお。」と話していたので、先週末に近所の花屋でサービス品として売られていた淡い黄色の小菊を一束買った。正確な名前は知らない。それを部屋にあったフラスコに挿している。何故そんな物が在るのかというと・・・よく思い出せないが我が家には花瓶の他にも色々と瓶が在るのだ。コカコーラの瓶(200ml)とか、北欧製の液体石鹸の瓶とか。
 それでどの瓶に挿そうかと考えあぐねて、ふと「粗末な感じのする奴が良いのではないか。」と思いフラスコに挿した訳なのだが、割とそれが気に入ってテーブルの上、パワーブックの隣に飾ってある。

 そして今日、一日部屋に居たのでその菊を眺める時間が長かったのだが、飾ってから一週間経つというのに、買った時と変わりない淡く穏やかな黄色い花はこの季節に良く似合うような気がした。しかし何かこう、薄い印象が周りに在る物全てに浸透している感じで、静けさを創り出しているいるようにも思えるのであった。美しい。確かにそうだが、何処となく薄幸そうな印象を持ってしまうのは、やはりフラスコなんかに挿しているからなのだろうか。

 儚げな色彩を持ち、しなやかさと意外な強靱さを併せ持つ和花を最近になって気に入り始めた。

アカバナー

 先々週の或る夜、我が家の出窓において、パッと見は気付かないがその実非常に不可思議な変化に気付いた。その出窓にはベンジャミンとハイビスカスとブーゲンビリアの鉢植えを置いているのだが、別にそれらの花が咲いていた訳ではない。出窓のカウンターの部分、ハイビスカスの周りがうっすらと濡れているように見えるので指で触れてみたら、何かネバネバしているのである。ハイビスカスの葉に触れると、そこもネバネバしていた。困惑した僕は腕組みをしながら唸っていたのだが、何も思い当たらない。匂いを嗅いでみても無臭だし、そのネバネバが一体何なのか判らない。しかし不気味だ。
 色々と考えてみた。疑わしい事がひとつ。アイロン用のニューキーピングのスプレーを自分で吹き付けたのだかも知れない。僕は夢遊病のような習癖はないのだけれど、昔に一度だけある。或る朝目覚めたら枕元に机の一番上の引き出しの中身が丁寧に並べられていた事があったのだ。そして後から自分が引き出しを開けて中に入っていた物を取りだし、並べている事をうっすらと思い出してしまって我ながら怖くなり、その事については出来るだけ思い出さないようにしていたのだ。
 しかしだ。ニューキーピングは糊の匂いがするので、違うだろう。じゃあ何か。全然判らない。かと言ってこのまま放っておくのも気味が悪いので、とうとう先週末に恐る恐るネバネバを拭き取った。

 そして今週。月曜の朝見てみたら、拭き取ったはずのネバネバがまたまた散布している。どういう事だろうか。葉に触れればねっとりとしている。もしかしたらハイビスカス自体がネバネバを散布しているのだろうか。調べてみるとこんな記事を見つけた。
 その昔、沖縄のおばあさんは、とても黒髪を大切にしていて、黒髪を守るためにアカバナーの粘液と良質粘土で洗髪していました。粘土の吸着効果で汚れを落とし、ハイビスカスの優れた保湿力でツヤのあるしっとりとした髪が得られました。
 ハワイではハイビスカスの粘液と良質粘土で洗髪する風習があり、優れた保湿力でツヤのあるしっとりした髪を維持していました。また、またこのハイビスカスの粘液を顔に塗り、肌の乾燥を防ぎ、張りとツヤを与え、皮膚を保護しています。
 ハイビスカスって粘液を出すんだ・・・。我が家にハイビスカスの鉢植えを置いて長いけど、そんなの今まで見た事がないのだけどなあ。今此処で話題にしているネバネバがその粘液であるかどうかは判らない。樹液というと幹に切り込みを入れると其処から滴ってくるものだが、今回の場合は散布しているからなあ。粘液が散布されるって聞いた事ないよなあ。

東京の桜

 思えば、子供の頃には桜なんかちっとも好きではなかった。どちらかと言えば花より、桜の木に棲息する毛虫の方が印象に残っている。そいつらに刺されると本当に痛い。そんな痛みの記憶ばかりが残っている。桜が好きになったのは歳を取ってからだと思う。それは何故だろうか。よく判らない。
 毎年観ていて思うのだけれど、桜の花は開花からほぼ一週間くらいで散る。待ちに待っての一週間である。更にはその時期には何故か必ず雨が降ったり風が吹き荒れたりする。切ない。そんな意地悪すんじゃねえよ、てな事を天に向かって嘆いたりしそうにもなる。それでも桜の花は淡い色彩を孕みつつ、豊満に咲き誇る。歳を取れば取るほどに梅の花が好きになっていくという説も在る。確かに梅の花は可愛いし可憐である。しかしながら色気という点で桜に適わない。桜には後も先も無い。溢れんばかりの過剰さで咲き乱れては、直ぐさま散って落ちる。かくも短い命の花だからこそ美しいのだと思う。

 この時期、電車に乗って東京の街を移動していると、こんな所にも桜の木が在ったのかと改めて認識するのであるが、それさえも二週間も経てば忘れ去ってしまいそうなのである。一年の間ひっそりと佇んでいた桜の木は、この一週間の間だけ、約束された光を浴びながら、狂おしいほどの熱情で天を仰いでいるのである。

桜坂

 東京は昨日から桜が満開であった。しかしながら昨日は所用で出かける事がままならず、本日のみの桜行脚だ。今日足を運んだのは東京は大田区に在る桜坂。東急多摩川線の沼辺駅から歩いて間もない場所に在る。福山雅治の歌で有名だし、タモリの「TOKYO坂道美学入門」でも紹介されているので、一度は行ってみたかったのである。

坂の中途に掛けられた橋の上から: 両脇の高い位置に桜の木が植えられていて、道路に追い被さるように花が咲き乱れている。この「桜が自分に覆い被さってくる」という感覚は実に良い。まあ、実際には道路は車道しかないので其処を歩く訳には行かないので非常に残念ではあるのですが。両側の高い位置にある歩道の横には住宅が建ち並んでいるので、其処の住人及び招待客達が駐車場にテーブルと椅子を並べて花見と洒落込んでいました。こういうのは地元の人達の特権ですね。羨ましい。しかしながら、此処の桜は車で坂を登ったり降りたりしながら観るのが一番美しいような気もします。

 余談ですが、此処数週間の間、僕の頭の中は「桜祭り」でありました。桜に関する歌を色々聴いたり、WEBの彼方此方で桜の画像を漁ったり、どういう訳だか解りませんが本当にもう桜色の花びらで一杯だったのです。

本郷館

 未見であった本郷館が4月に取り壊されると聞いたので行ってきた。現地に着いた時には、僕と同じように取り壊しの話を聞きつけたのであろう人が数人既に写真を撮っていた。実際に目の前にするとその建物の巨大さに圧倒された。板張りの外壁がそびえ立つ様は城を思わせる。狭い路地を歩いていたら突然巨大な木造建築物が目の前に現れるというアプローチにも異様さを感じるし、その事に感動さえ覚える。まるで時空をねじ曲げられたようだ。

 上記の Wikipedia もそうだが、彼方此方で見かける本郷館の姿は正面玄関側から撮影した写真ばかりで、僕もその印象しか持っていなかった。しかしこの建物の周囲を歩き回ってみるとその様相は様々で、見ていて飽きない。たくさん写真を撮ったはずなのだが、どうやらフィルム・カメラでばかり撮っていたらしく、デジタル・カメラで撮ったのはほんの数枚だった。フィルム・カメラのレンズは50mm、デジタル・カメラのレンズは28mm。近づいて撮るには28mmでも画角が全然足りなかった。せめて21mmは要るなあ。

 余談だが、本郷館を紹介している頁では何処も本郷6丁目という事までしか記載していない。恐らく住人へ配慮であると思う。つまり無遠慮に見物に来たり写真を撮るなという事だろうな。入口には関係者以外の立ち入りを禁じる注意書きがあるし、その日の撮影者が多かったせいか、窓や玄関から外の様子を伺う住人の姿が見受けられた。まあ、迷惑には違いない。

乱春

 今日の東京の最高気温は16℃。通常ならば一番寒いこの時期に、4月を想わせるこの外気の有り様は尋常ではない。誰しもが口にするように季節が狂い始めている。とは言え、個人的には有り難い。寒いのは苦手だ。身体が動かないのは言うに及ばず脳の働きも著しく減退してしまうのだ。心地良く過ごせる時期の半分くらいにしか事に及ばない。毎日毎日自分にもどかしさを覚えながら暮らしている。
 さて、こんな乱れた陽気では毎年楽しみにしている花々の開花もどうなる事やら判らない。いつ咲くかと待ちわびている開花も、これでは一体いつ咲いてしまうのかと、まるで出発時刻を知らせれていない列車を尻目に腹痛を抱えてトイレに駆け込むようなものである。あいやこれでは例えが解りにくい。しかし今この瞬間は他に思いつかない。

 昔から春に関して想っている事に、いつの日にか「桜吹雪にまみれてみたい」というのがある。ちらちらと雪が舞い落ちるように落花する桜も麗しき一興であるが、降り積もる桜の花弁に埋もれてみたいのである。積もるほどの桜を写した映像というと、その昔に友人に借りた「疵」という映画の中で、陣内孝則扮する男が白いコートを着て桜吹雪の中を揚々と歩いていた。その光景が忘れられない。

 もう一つは岩井俊二が撮った「四月物語」。松たか子主演のこの短編映画は、ロードショーで観ていたく気に入ったので翌週にまた観に行った。桜がそのままの美しさで写し取られている。

 そしてこの頃は、白洲正子の「西行」を読んでいて、この西行法師は数多く桜を読んだ事で有名だが、その中で一番知られているのであろう歌を此処に掲げる。
願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ
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