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DOG ON THE BEACH

東京の桜

 思えば、子供の頃には桜なんかちっとも好きではなかった。どちらかと言えば花より、桜の木に棲息する毛虫の方が印象に残っている。そいつらに刺されると本当に痛い。そんな痛みの記憶ばかりが残っている。桜が好きになったのは歳を取ってからだと思う。それは何故だろうか。よく判らない。
 毎年観ていて思うのだけれど、桜の花は開花からほぼ一週間くらいで散る。待ちに待っての一週間である。更にはその時期には何故か必ず雨が降ったり風が吹き荒れたりする。切ない。そんな意地悪すんじゃねえよ、てな事を天に向かって嘆いたりしそうにもなる。それでも桜の花は淡い色彩を孕みつつ、豊満に咲き誇る。歳を取れば取るほどに梅の花が好きになっていくという説も在る。確かに梅の花は可愛いし可憐である。しかしながら色気という点で桜に適わない。桜には後も先も無い。溢れんばかりの過剰さで咲き乱れては、直ぐさま散って落ちる。かくも短い命の花だからこそ美しいのだと思う。

 この時期、電車に乗って東京の街を移動していると、こんな所にも桜の木が在ったのかと改めて認識するのであるが、それさえも二週間も経てば忘れ去ってしまいそうなのである。一年の間ひっそりと佇んでいた桜の木は、この一週間の間だけ、約束された光を浴びながら、狂おしいほどの熱情で天を仰いでいるのである。

乱春

 今日の東京の最高気温は16℃。通常ならば一番寒いこの時期に、4月を想わせるこの外気の有り様は尋常ではない。誰しもが口にするように季節が狂い始めている。とは言え、個人的には有り難い。寒いのは苦手だ。身体が動かないのは言うに及ばず脳の働きも著しく減退してしまうのだ。心地良く過ごせる時期の半分くらいにしか事に及ばない。毎日毎日自分にもどかしさを覚えながら暮らしている。
 さて、こんな乱れた陽気では毎年楽しみにしている花々の開花もどうなる事やら判らない。いつ咲くかと待ちわびている開花も、これでは一体いつ咲いてしまうのかと、まるで出発時刻を知らせれていない列車を尻目に腹痛を抱えてトイレに駆け込むようなものである。あいやこれでは例えが解りにくい。しかし今この瞬間は他に思いつかない。

 昔から春に関して想っている事に、いつの日にか「桜吹雪にまみれてみたい」というのがある。ちらちらと雪が舞い落ちるように落花する桜も麗しき一興であるが、降り積もる桜の花弁に埋もれてみたいのである。積もるほどの桜を写した映像というと、その昔に友人に借りた「疵」という映画の中で、陣内孝則扮する男が白いコートを着て桜吹雪の中を揚々と歩いていた。その光景が忘れられない。

 もう一つは岩井俊二が撮った「四月物語」。松たか子主演のこの短編映画は、ロードショーで観ていたく気に入ったので翌週にまた観に行った。桜がそのままの美しさで写し取られている。

 そしてこの頃は、白洲正子の「西行」を読んでいて、この西行法師は数多く桜を読んだ事で有名だが、その中で一番知られているのであろう歌を此処に掲げる。
願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ

乱れた季節

 書き忘れていましたが、先週末にオンシジウムが亡くなりました。葉は枯れ果て、根もカサカサでした。

 ここのところ、20℃を下回る日々が続いたので、我が家では既にオイルヒーターを入れていたのですが、その人工的な陽気に騙されたハイビスカスは昨日二つの蕾が花開きました。そして、ブーゲンビリアは急激に蔓を伸ばし(結構邪魔)あろう事か、今頃になって一房色付きました。そんな植物どもの姿を見ていると、いかに人間が不自然な環境で暮らしているのかが分かりますね。でも仕方ありません。僕は20℃を下回ると辛くなってくるのです。今夜は22℃あるのでヒーターは入れてませんが、今後、真冬に向かって更に20℃も気温が下がる事を考えると、少しだけ途方に暮れた気分になります。毎年の事ですが。僕は既に冬物の服を着ています。
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