DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

Month: August 2011

空の色は秋へ

 この二日間、僕は漠然とした後悔と罪悪感に苛まれていた。それは未だに続いていて、何かしらの答えが出る気配すらない。不思議なのは、後悔する事が在るのは何となく解るにしても、罪悪感に苛まれるというのがよく解らない。何しろそんな覚えがない。しかし確実に、罪悪感を伴ってある人の事が思い出される。きっかけが在ったとは言え、どうして今そんな思いに捕らわれなければならないのか。ようやく忘れかけていたのに。もしかしたら、忘れてはいけない事なのか。

空蝉

 昨夜遅く、ベランダへ通じるガラス戸を開けると蝉が飛び込んできた。部屋の明かりに呼ばれたのか、暫く部屋の中を飛び回った後に窓際のカーテンへしがみついた。さすがにそこで鳴かれたらとんでもなく煩いだろうなと思い、僕は指でつついて外へと追いやった。ジジッと鳴いてカーテンを離れたが、蝉はそのまま夜空へとは飛んでは行かず、ベランダの中に留まったようだ。まあ仕方がない。僕はガラス戸を閉め冷房のスイッチを入れた。

 そして今朝、ガラス戸を開けるとベランダの床に蝉が腹を見せて転がっていた。しゃがみ込んでよく見てみると、6本の脚をウヨウヨと動かしている。未だ亡骸ではない。しかしもう間近だ。今まさに命を終えんとする生き物をどうしたら良いのか暫し考えた。他の場所に移すのは何かしらに反する気がしたので、蝉はそのままにしておく事にした。僕はガラス戸を締め、鞄を持って部屋を出た。

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