DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

Month: July 2012 (page 4 of 7)

詠句

庭眺めちゅるっと冷やむぎ扇風機

冷や麦を皿に残して児はそとへ

詠句

硝子箱こしをふりふり天使魚

夜水槽LEDの熱帯魚

地獄の電子音

 今朝見た夢の話。

 巨大な宇宙船が空を覆っており、その宇宙船の外装は金属よりもっと軽そうな、極彩色のパネルで構成されていた。例えるならルービックキューブの各色を20色くらいにグラデーションさせて、各色のその一辺が10メートルくらいと考えてもらえれば良いだろう。そういう巨大なパネルが複雑に構成され、何の機能が在るのか判らないが、宇宙戦艦ヤマトの底部の第三艦橋のようなタワーらしきものが突き出ている。そして僕らは谷底のような場所に居て、四方を崖に囲まれている。つまり、上空に見えるはずの空を宇宙船が蓋をしてしまった状態だ。なので僕らが見ているのは宇宙船の底部のみという事になる。
 僕らと書いたが、実は谷底には何百人もの男達が居て、僕を含めたそいつら全員が、幅10メートルくらいの、横から見ると山型に組まれた梯子を登っている最中で、一体何の為にそうしているのか判らずにいた。宇宙船に乗り移ろうとしているように思えるかも知れないが、宇宙船は梯子の突端の遙か上空である。それでも皆やみくもに梯子を登り続けている。恐らく、谷底にそのまま居続けると何かしら良くない事が起きるのだろう。宇宙船の底部に在る艦橋が伸びて、自分を受け入れてくれるのを期待しているのかも知れない。

 突然電子音が鳴り響き、宇宙船のパネルがまるで板が倒れるような様子で動いた。谷底に居る男達全員が呆気にとられ、動きを止めて頭上を見上げていた。そしているうちに宇宙船のパネルは次々と動き出し、それに連れて電子音も一定のリズムを持つようになり音階まで現れた。ただ、巨大な物が動いている割りには風圧を感じないし、作動音や何かがぶつかり合うような衝撃音も聞こえてこない。電子音が谷中に響き渡っているだけである。それでも、巨大な物が眼前で動くのだから視覚的には威圧感がある。やがてパネルの動きはスピードを増し、動き方も複雑になった。電子音の旋律も複数になり、それらが絡み合うようにうねる。僕はだんだん怖くなってきた。
 ふと気付けば、僕は梯子の最上段に掴まっていた。僕より先に梯子を登っていた男達はどうしたのだろう。怖くなって降りたか、それとも落ちてしまったのか。振り返ると、僕の背後で大勢の男達が僕を見上げていた。

 とその時、電子音が一際大きく響き、僕が驚いて頭上を見上げると、宇宙船の底部艦橋が形状を次々に変えながら僕らの方へ伸びてきた。それはもう、どう考えても僕らを救おうとしてくれている雰囲気ではない。何かしら、とんでもない事を今まさに起こそうとしているとしか思えなかった。僕は半ばパニックに陥り、為す術もなく梯子にしがみついた。こんな恐ろしい事が起こって良いのか。何故に僕がこんな目に遭わなければならないのか。混乱する頭で僕は考え続けた。そしてふと思い付いた。これは夢だ。こんな事が起こる訳が無い。何故か僕はそう確信し、目をつぶり頭を振った。
 すると電子音が突然止み、一瞬の空白の後に僕の耳には人の話し声が聞こえてきた。恐る恐る目を開けると、僕は陽光の差し込む一室で、見知らぬ男女数人と一緒にお茶を飲んでいた。

 というところで目が覚めた。まさかの二段落ち。

詠句

闇にたつ揺れる烏賊火と波の音

詠句

冷や酒をあおる爺の肩にネコ

胡瓜食み枡に冷や酒塩でしめ

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