DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

Month: November 2013 (page 1 of 2)

初恋動物園

 先日、福岡市動物園がリニューアルしたとのニュースを眺めていて思い出した事がある。

 僕は幼き頃に連れて行って貰った動物園で、親からはぐれたのか一時独りで行動しており、ふと視界の開けた高台の休憩所ような場所に居た。柵に囲まれ、ベンチがあり、お金を入れて見る事の出来る双眼鏡も在ったように思う。其処で僕は「これ以上の僕の好みに合う女の子は居ない」と思えるほどの同い年くらいの女の子に出会ったのだ。僕は長い事じっと見ていたのであろう、やがてその子も僕に気付いた。ニコっと笑ってくれて僕を見ていた。僕ももちろん見ていた。そのうちにお互いにモジモジし始め、何となく離れがたいような気分になったし、相手もそうであるように見えた。しかし僕は親の元へ帰らねばならない。きっと相手ももそうだろう。一言も発する事はなかったが、離れがたきに耐えるような、胸が締め付けられるような気持ちに陥った。

 という事を、随分と成長した後(成人はしていなかったと思うが、それまでのどの時期だったかは判然としない)に鮮明な映像としてその事を思い出した。という事を今回思い出した。話は複雑なのである。
 そして、最初に思い出した当時(その後何年かに一度くらいは思い出しているが同様に)は、その女の子の表情や着ていた服までもはっきり思い出したくせに、その記憶に自信が持てなかった。何故かと言えば、その光景以外には動物園での記憶が全くないからである。それに僕には、自分の記憶だと信じ切っていたものが事実ではなく、記憶を歪曲したかそれとも夢を見たとしか考えられないという事がたまにあって、それもあってその記憶を疑っていた。考えてみれば都合の良い話だし、動物園には行った事はないような気がするし、たぶんまた夢に見た事を勘違いしているのだろうくらいに考えて、やがて忘れていった。

 で、今回はせっかくなので事情聴取してみた。母が言うには、熊本市動物園には父の運転する車で行った事があり、福岡市動物園には保育園の遠足で行った事があるそうだ。全く記憶にはなかったが行った事はあったのだ。そして、何れにしても保育園の時だが、福岡市動物園は高台に在るので双眼鏡の在る休憩所も在ったかも知れないとの事。僕の記憶にやおら信憑性が出てくる。妙に楽しい気分になってきた。
 しかし疑問はまだある。通っていた保育園には当然女の子も居たし、彼女達に関しても微かな記憶はあるのだがほぼ興味はなく、一緒に遊んでいた男の子達の印象の方が遙かに強い。そして僕は当時で言う保母さんの一人がとても好きで、何となくそれが僕の初恋だと思っていた。そんな男子児童が、上記したような行きずりの女児に一目惚れなんてするだろうかね、という疑問。ああしかし、小学校に入学した僕はフツーにクラスメートの女の子を好きになったりしていたので、もしかしたら保母さんに恋をした後に件の女の子との出会いがあったりしたのだろうか。そう考えると何となく話がうまく収まるような気はするなあ。いやでも「これ以上の僕の好みに合う女の子は居ない」なんて幼児が考えたりするだろうか。その辺りの感情の記憶が歪曲されているのかも知れない。

蓑:お客さまに来てもらうためには、ポスターのデザインも重要ですね。それもデザインが良いか悪いかではなく、まず、どこでやっているのか、いつからいつまでやっているのかがはっきりわかること。でも、デザイナーはたいてい、美術館の名前を小さくしちゃうんですよ。

福原:デザイン優先なんでしょうけど困りますね。いくら言ってもなかなか直らないんです。だから最後の手段で、当館ではこのポスターのサイズならロゴは最低何センチと大きさを決めたんですよ(笑)。

蓑豊著『超〈集客力〉革命』角川oneテーマ21 2012年 p.206

 アメリカのインディアナ州コロンバスは人口わずか4万4000人の小さな街だ。シカゴから車で3時間半から4時間ほどかかる田舎町だ。
 この街には建築デザインが優れた建物がたくさんあることでよく知られている。その礎を作ったのは一人の企業家だった。
 コロンバスには、カミンズというメーカーの本社がある。190カ国に拠点がある世界的なディーゼルエンジンメーカーだ。このカミンズを40年以上にわたって経営していたアーウィン・ミラーがこの街の建物のデザインを変えた人物である。
 ミラーは、経営者として人材の重要性をよくわかっていたため、「この小さな街に MIT やカルテックスのような優秀な大学の卒業生たちに来てもらうためにはどうすればいいか」と考えた。そこでミラー氏は街の建築物を変えることを考えたという。
 最初は教会だった。1942年に、フィンランド出身の著名な建築家、エリエル・サーリネンに依頼し、街の真ん中にファースト・クリスティアン・チャーチという教会を造った。次に彼は設計料を出す代わりに自分で選んだ建築家に街の学校の設計を任せることを街に提案した。

 (中略)

 こうした新しい建築物のおかげで街のイメージは一新された。しかも、学校や教育に関わる施設を見て、子どもたちがいい環境で勉強できることを知った優秀な人材がカミンズに就職するようになった。
 人を集めるにはまず環境から。それも、次世代を担う子どもたちが勉強する環境にお金と手間暇をかけるべきだ。そのとき、デザインは重要な働きをする。環境を目に見えるかたちで一新できるのはデザインだからだ。

蓑豊著『超〈集客力〉革命』角川oneテーマ21 2012年 pp.189-191

川床カッフェー

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 左が2001年に上洛した折、詳しくは思い出せないが町屋が寄り集まった区域の掲示板に貼ってあったイベントのポスターなのだが、使っている写真がとても気に入って写真にまで撮ってしまった。一体何の写真なのか気になってはいたのだけれど、何の情報も得られないままで、いつしかその写真の事は忘れ去っていた。そして右は、11年後の去年末に再び上洛した折、河原町の商業ビルの入口の柱に、別なイベントのポスターとして貼ってあった。再び興味は再燃したが、やはり何の手がかりも見つけられなかった。

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 そして今年に入って Tumblr のダッシュボードに前述のポスター写真の原型であろう上記の写真画像が流れてきたのだ。ここで逢ったが百年目、まさに狂喜乱舞した僕であるが、流れて来たのは写真だけで、その他には何の情報も得られなかった。

 全体の雰囲気からして、明治大正期のカッフェーであるように見える。客の男は40代から50代くらいの銀行員ではないかと想像する。二人の女給はとても若そうで、着物や髪飾りが派手なところを見ると舞子だろうか。そしてその二人の間に白い欄干が見える。揚屋でこのような欄干を使う事はないと思うので、もっと新しい施設であろう。仮設のものであるかも知れない。そうすると川床であろうか。そして更にその向こうに見える灯りが賑やかで、河床から見た川向こうの灯りだとすると近すぎるので、隣接した川床の灯りを映しているのだと想像する。右側の影になった方の女給の左手には指輪が光り、金属製の盆の上に乗せられているのはずんぐりとした酒瓶。麦酒であろうか。見ていると色々と気になってくるものである。

 長年に渡り繰り返し使われている写真のようなので、恐らく有名なものであるのだろう。僕の当て推量に間違いがないとすれば、その当時のカッフェーの様子を此処まで濃密に映した資料を他に見た事がない。もしかしたら現代になってセットで撮影されたものかも知れないが、それならそれで凄いと思う。何だろうか、この写真は。もの凄く気になる。というか僕が其処に居たい。

 追記 20131115:Patron of Nightclub Uruwashi having his cigarette lit by geisha というのがこの写真のタイトルであるようだ。撮影者は Eliot Elisofon という、1911年生まれの米国のフォト・ジャーナリスト。1962年3月26日にライフ紙に発表されたものであるようだ。

今どきの終活

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 暫く前の話であるが、地元の街のアーケード商店街を歩いてると左写真のようなスタンド看板が目に入った。黒板に書き殴られた様子がカジュアルなわりには「遺言」という言葉が重くて非常にシュールである。これは実は、行政書士の事務所兼店舗の前に掲げられたもので、客を呼び込む為のようだ。詳しくは知らないのだが、行政書士には遺言書の作成を支援する業務があるようで、その為このような看板を掲げる事もなんら不思議ではない。しかし、その事を知らない人は何事かと思うだろう。おまけに、本来は「飛び込みでいらしても書き方をお教えします」という意味であるはずが、変に簡略化して言い切り型の言葉「飛び込み OK!!」で書いてしまっているので、左側の「遺言」という言葉が妙に影響して「もしかして、飛び込み自殺する際の遺言についても相談を受け付けてくれるのか」と思わないでもない。遺言を残すという大事な行為を支援するのだから、ニュアンス的な事にもう少し気を遣った方が良かったのではなかろうか。ついでに書いてしまうと、高いのか廉いのか判らないが「3000円」という金額がいささかポップな印象を与える。何というか、今では余り見かけなくなったが「明るい家族計画」と似通ったセンスを感じる看板であった。

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