高度成長期に企業の「接待文化」が広まったことで、ホステスの需要は急拡大。本書で扱うキャバクラ嬢もまた、ホステスという仕事のかなりの部分を受け継いでいる。
「セックスサービスを提供しない」という点で、日本のホステスは特殊な存在である。文化人類学者のアン・アリスンによれば、男女がお酒を飲みつつ横に座って会話する「だけ」のサービスは、日本に特有のものだという。
 アリスンによるとホステスは、日本企業のサラリーマンが「男同士の絆」を強める役割を果たしてきた。男性が男として「一人前」になるには、他の男性から「あいつは男らしいヤツだ」と認められなければならない。そこで男らしく振る舞おうとする男性は、女性を性の対象として「所有」し、かつ「あいつは水商売の女だ」と差別しなければ、という思いに駆られる。
 ホステスクラブにも、この男性たちの思惑がはたらいていることを、アリスンは指摘した。彼女は銀座のクラブでホステスとして働き、客とホステスのコミュニケーションを観察した。その結果、接待でホステスに求められるのは「男性集団のコミュニケーションを円滑にすること」と結論づけている。

北条かや著『キャバ嬢の社会学』星海社新書 2014年 p.40