DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

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 斎宮の女御(六条の御息所の娘)が、秋雨の降るころ、二条院に里下がりした。源氏は御息所の思い出を語りながら、春秋の優劣論を楽しむ。女御は秋を好むと答え、のち「秋好中宮」と呼ばれるようになった。

角川書店編『ビギナーズ・クラシックス 源氏物語』角川文庫 2001年 p.179

よろづのこと、来し方行く末思ひ続け給ふに、悲しきこといとさまざまなり

角川書店編『ビギナーズ・クラシックス 源氏物語』角川文庫 2001年 p.128

 銀座の商人が、畏れ多くも天皇の宸襟を悩ませたという事件もあった。明治二十二年、博覧会の開会式に臨席されるために上野に行幸の途次、天皇はとある銀座の店の看板に目を止められた。読めない文字があったからである。店主の名前ははっきりわかるが、商品の名前が読めない。侍従を遣わして御下問になったところ、戻ってきた侍従が報告するには、問題の品物はカバンであるとう。店主は「革」と「包」とを組み合わせ、これに、物を入れる包みという意味の中国語、「きゃばん」の音を当てたのである。陛下じきじきの御下問に恐縮した店主は、以後、看板にカナを振ることにした。店は有名になり、同時に「鞄」という字も日本語として定着した。件の看板は、残念なことに震災で焼けてしまった。

エドワード・サイデンステッカー著『東京 下町山の手』ちくま学芸文庫 1992年 p.274

 正月の祝い酒に屠蘇を飲むのは、そもそも九世紀に中国から伝わった風習で、宮中では唐を見習った正月行事が催されていたと伝えられている。
 唐の由来では、草庵に住む賢人が大晦日に村人に薬包を配り、それを浸した酒を元日に飲むと疫病防止になると教えたという故事にちなんだ儀礼だという。その庵の名である「屠蘇」をとって屠蘇散と名付けられたようだ。宮中ではその処方にのっとって調合し、元日に飲んでいた。
 それが江戸時代になると民間にも広まっていく。屠蘇に使われる漢方は、その種類を伝える史料により多少のちがいがあるものの、たいてい七種か八種の薬草を砕いて赤い袋に入れ、大晦日から井戸に吊るしてエキスが出やすくしておく。元旦にそれを取り出し、袋ごと酒か味醂に浸してお節料理の前に飲むとされた。
 薬草の種類は大黄・桔梗・防風・蜀椒・桂心・虎杖・白朮・烏頭のほか陳皮、赤小豆などが加えられる場合もある。各家庭では、これらの薬草を漢方薬店で買い求め、自宅で屠蘇散を作って一年の健康を祈念していたのだ。
 たしかに、薬草の効能は、健胃、咳止め、解熱、鎮痛などがいわれていて、滋養強壮に役に立つ。まさに年はじめに飲むのにふさわしい薬酒といえよう。

歴史の謎を探る会編『江戸の食卓 おいしすぎる雑学知識』KAWADE夢文庫 2007年 pp.191-192

 一四世紀に西欧で起こった大航海時代は、コショウを手に入れんがための船出だった。まだ中国との交易程度しか世界への窓を開いていなかった日本だが、じつはそのときすでにコショウの存在を知るばかりか、立派に栽培もおこなっていた。
 日本への伝来は八世紀半ばのこと。なんでもかんでもこの人の功績にされがちだが、鑑真和上が伝えたともいわれている。
 江戸時代には、香辛料として一般に広く使われるようになっていて、舶来のものと意識せず、日常的に料理に登場していた。
 いちばん多い使われ方は、粉末にしたものを汁物の吸い口(吸い物に浮かせて香味をつけるもの)としていた。やはり吸い口の王者だったユズと双璧をなしたようだ。当時の料理書には、うどんをゆでて味噌ダレや鰹のダシ汁で食べるときにもコショウが登場している。とろろ汁や豆腐料理にも、仕上げにはコショウ。どちらも淡泊な素材だから、ピリリとしたアクセントがたまらなかったのだろう。
 変わり飯のなかには、コショウ粉末をふってご飯を炊き、それにダシ汁をかけて食べるという「胡椒飯」まであった。
 ユズも風邪予防などの薬効から、吸い口だけでなく料理のつけあわせ、小鉢の一品に活躍した。香辛料として、皮のすりおろしやへぎゆずが多用されていた。
 この二大香辛料がタッグを組んだ料理もある。
『新着料理 柚珍秘密箱』に登場する「柚飯」だ。白いご飯に酒・醤油・ユズの搾り汁を混ぜたものを茶碗に盛り、そのうえにユズの皮と煎った粒コショウをのせたご飯とされる。五臓六腑までしみ渡る料理で、これを食せば冬にそこら辺でごろ寝をしても風邪をひかないといわれたほどのパワーフードらしい。

歴史の謎を探る会編『江戸の食卓 おいしすぎる雑学知識』KAWADE夢文庫 2007年 pp.155-156

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