DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

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 一九九〇年以降、美術館の数は増えました。ところが、景気が後退するとまず予算を切られるのは芸術文化部門です。ハコはつくってみたものの、中身までは手が回りません。近年開館した森美術館にしろ、国立新美術館にしろ、コレクションを持たずに企画展を見せることに終始するタイプの美術館が増えました。
 独立行政法人国立美術館法(二〇〇一年施行)は、この状況にさらに追い打ちをかけます。国立美術館は、自力で採算を上げなければならないのです。ますます財政は厳しく、新たにコレクションを増やすのは相当苦しい状況です。美術館行政は、芸術文化の向上といった「質」よりも、まずは入館者数や売上といった「量」を最優先課題としなければならなくなったのです。

小山登美夫著『現代アートビジネス』アスキー新書 2008年 p.190

 日本では、公益性のある美術館や団体に寄付する場合、所得の四割まで控除を受けられる制度があります。私立美術館への寄付は課税対象です。相続税については、購入金額ではなく相続時の評価額に課税されるので、評価額が大きく上がると相続者が苦慮することになります。結局、税金を払うために作品を手放して海外に流出させてしまったり、納税を避けるために作品が隠されてしまい、個人所有の重要な文化財の所在が不明になってしまう場合があります。(和田)

小山登美夫著『現代アートビジネス』アスキー新書 2008年 p.185

福原:もう一つ美術館が会社と違うのは、学芸員は転勤がない場合がほとんどなんですね。ごく稀に、同じ自治体の別の館へ、ということがありますけど、それは東京のような大都市くらいのものでね。まあ、あまりないんですよ。それで、研究一筋でしょう。その研究も、美術全体を見ながら研究してくれればいいんだけど、江戸時代の誰それの浮世絵をずっと研究してますという場合が多い。研究範囲を狭めないと研究成果が上がらないから、そうすると、視野が狭くなってしまうんです。
 会社の場合は転勤があるから、ほかの世界を見てからまた戻ってくることもありますが、美術館はそれができない。もちろん学芸員はあくまで専門性を追求していくのが仕事ですが、そのため人間の幅が広がりにくいし、世界が狭くなりがちです。彼らの視野を広げる刺激を与えるのが館長の仕事だと思います。それを防ぐために、私は学芸員たちに、なるべくよその美術館を見に行けと言っています。
 ほかの美術館を見に行けば、美術館のありようが外から見えるし、誰が何を誰に見せようとしているのかというポイントが見えてきます。いまや日本には美術館がたくさんあって、各館それぞれ工夫している。そのエッセンスを採り入れないのはもったいないと思うんです。東京で言えば板橋区立美術館が一生懸命やっていますよ。

蓑豊著『超〈集客力〉革命』角川oneテーマ21 2012年 pp.207-208

蓑:お客さまに来てもらうためには、ポスターのデザインも重要ですね。それもデザインが良いか悪いかではなく、まず、どこでやっているのか、いつからいつまでやっているのかがはっきりわかること。でも、デザイナーはたいてい、美術館の名前を小さくしちゃうんですよ。

福原:デザイン優先なんでしょうけど困りますね。いくら言ってもなかなか直らないんです。だから最後の手段で、当館ではこのポスターのサイズならロゴは最低何センチと大きさを決めたんですよ(笑)。

蓑豊著『超〈集客力〉革命』角川oneテーマ21 2012年 p.206

 日本では学芸員をキュレーターを呼ぶことがあるが本来の意味からはズレている。欧米でキュレーターと名乗れるのは、美術館の「部長」クラスだけ。キュレーターとは部門のトップであり、展覧会の企画から予算管理までを任されるプロデューサーを指す。
 私の場合、シカゴ美術館で東洋部長を務めたときがキュレーターとしての「メジャーリーグ入り」だった。キュレーターの下にはアソシエイト、アシスタントがいる。そして、さらにその下にテクニシャンと呼ばれる研究員がいる。日本の美術館の学芸員のほとんどはテクニシャンにあたる。学芸員が美術館経営に関わることがないのはそのためだ。

蓑豊著『超〈集客力〉革命』角川oneテーマ21 2012年 pp.92-93

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