DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

Month: July 2013 (page 1 of 3)

 現代アート作品は古い街並みと相性が良い。時間は層のように重なった古い建物と現代の先端的な表現を含む作品との対照が観客の感覚を覚醒させる。

(中略)

 これまで文化的な遺産に乏しかった場所に世界中からアーティスト達が招かれ、彼らが地元・十和田の歴史に触れることによって新しい街並みを創出するーーー最も喜んだのは地元の人々であり、特に若い世代である。若い世代にとって、他の地域からの訪問者が増えることは大きな自信になる。駅前商店街のシャッター通りは日本中で大きな問題になっているが、ここ、十和田も例外ではない。しかし、十和田市は現代アートによって変化し始めた。すでに大きな箱モノ美術館がある都市でも、中身のコレクションを変え、企画を変えて美術館自体を大改革すれば、私はこの十和田現代美術館のように美術館が街を再生するプラットフォームになることは可能だと思っている。

山口裕美著『観光アート』光文社新書 2010年 pp.87-88

詠句

土用入りうなぎ不在の暑気払い

詠句

焼き茄子のうえで踊るわ花がつお

 全国的に見ると、日本は美術館の数だけは本当に多い。2002年のデータでは、博物館法に則った施設と博物館類似施設を合わせると約5600館もある。それらの多くは70年代以降にできたもの。純然たる美術館はどのうちの3割程度だが、それでも1200以上もある。

(中略)

 欧米では、住民がその土地の芸術や文化、歴史を保存・継承していこうとする熱意が強く、そこに美術館・博物館が中心となって役割・機能を果たしている。日本はこれがまだできていない。
 美術館は、もともと美術作品を中心とした文化遺産や現代の文化的な所産を収集、保存、展示し、それらを元にして教育、普及、研究を行う施設である。だが、日本の場合は博物館法に基づいて博物館の一部を美術館としてしまったため、博物館の機能の中の、過去コレクションを定義、位置づけし、保管するという方向が色濃く出ているのが現状である。
 また、新しいコレクションは美術館とは別組織の収蔵委員会によって決定される。新しいコレクションのための推薦リストが学芸員や美術評論家などから挙がってくると、委員会が多数決でそれらを決めるため、その時代においての評価や適正な予算運営を行いにくい。

(中略)

 また、地方の美術館の多くは自主企画をする予算も気力も薄く、新聞社やテレビ局が企画する展覧会を巡回させることで入場者数を稼ぎ出したいというのが本音になってしまっている。

山口裕美著『観光アート』光文社新書 2010年 pp.58-60

詠句

白鷺をはこぶ青田の風すずし

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