DOG ON THE BEACH

A season passes. A castle can be seen. Where is a soul without a wound ?

Month: June 2014

ただならぬ人

 一月ほど前の事。近所のスーパーへ食材を買いに行くと、どうにも見覚えのあるただならぬ雰囲気の男を店内で見かけた。短髪で、ハイネックの長袖のT シャツを着て、横の部分に派手な模様をあしらったジャージを穿いていた。そして背は高くはなく細身で、目がぎょろりとしている。僕は買い出しリストのメモを片手に陳列棚を彷徨いながら、あれは誰だったかと思い出そうとしていた。もちろん、そんな人が僕の事を覚えていてフレンドリーに声をかけられたりするのは是非とも避けたいので、エリアが被らないように目を配りつつ移動した。
 暫く経った後、朧気に思い出した。彼は僕の中学の時の先輩である。確か一学年上で、僕が一年の時に三年の恐い先輩達(友達の兄ちゃんだとか、小学生の頃に一緒に遊んでいた人達だったりするのだが)にくっついていたと思う。要は使い走りのような立ち位置だった。そして更に思い出したのは、僕らは彼を非常に怖れていたのだった。しかしそれが何故なのかが思い出せない。恐らく「あの人はこんな事をしでかしたらしいよ」という感じで噂に聞いたのだろうと思う。そういう噂は派手な尾ひれを付けて伝わるものだが、当時の僕らはその話をまるっきり信じ込んでいて闇雲に怖れていたような気がする。そして今の僕には、その怖れを抱いた経験のみが思い出され、その記憶を元に彼におののいている。まぁ、それだけではなく、彼の様相そのものがただならない雰囲気を持っているので、その雰囲気が故に尾ひれのついた噂が飛び回っていたのではないか、と今となっては考える。その「ただならない」感じをどう説明すれば良いのかとても難しいのだが、若い頃の鳥肌実をさらに爬虫類に近づけた感じと言えば想像出来るだろうか。
 それにしても、確実に老けてはいるが、彼が中学の頃とさほど変わらない様子である事に驚く。この30年以上の年月をどう生きて来たのか。何となく想像出来る気もするが、余り知りたくはないという気もする。

 アートファンドは、不動産、貴金属、国債などへの投資と同様に、アートを対象に投資する金融商品です。基本的な仕組みは、投資家は出資し、ファンド運用会社やファンドマネージャーがその資金を運用し、得られた利益は投資家に配当されます。
 単純に言えば、値が上がりそうな有望な作品を購入し、売却したときに生じる差益を配当するシステムです。また、直接、アーティストに対して制作資金を投資して、その売却益を得るという方法もあります。(和田)

小山登美夫著『現代アートビジネス』アスキー新書 2008年 p.140

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