この本の最初で現代アートについて私は「人々がお互いの違いを認識し、共存していくためのヒントまたはツール」であり、そこにはアーティストが、自らの生まれ、育った国または地域の文化や歴史、宗教、政治、風俗等と、他者あるいは世界との関係性が様々な形で表されていると申し上げました。
 さらに、同時代性、社会性を備えてもいない、あるいは関係性が希薄な作品は、ただ単に現在制作されただけの「現在アート」であるとも。

宮津大輔著『現代アートを買おう!』集英社新書 2010年 p.191