待ちに待った新譜。今日繰り返し聴いてみて思った事。岸田君は(僕は基本的にくるりは岸田繁のワンマンバンドだと思っている。本人は否定するだろうけど。)すっかり苛立ちが成りを潜め、皮肉が少なくなったなあ、と思う。岸田繁という名の一人の男の成長が、正確に伝わってくる。それが音楽の本質かどうかという議論は置いておく。僕はそういう人間の成長を見て取れるというのが好きなのだ。リアルタイムで聴いていた訳ではないが、The Beatles や The Rolling Stones を聴いていてもそれを感じ、あたかも冗談のように長い長編小説を読んでいるような感覚がある。椎名林檎も同じ。言ってみれば文学に近い。それに歌詞も随分変わって来た気がする。これまでは、演奏と歌詞は独立しているような印象であったが、このアルバムでは両方が同時に聴かれなければ、伝わって来ないような気がする。
 新譜が出る度に、その変化にすぐに馴れる事が出来ないが、後々、結局全てのアルバムを好きになってしまう。何時までも聴き続けていたいバンドである。