地元の駅ではもう長い間線路の高架工事が行われている。路線が三本に分岐する上に検車区まで在るものだから、踏切が永遠に開かないのではないかと思える時がある。運行する列車の数は経る事なく増え続けていくのだから、将来を見越してどうにかしようという工事だ。季節を問わず、昼も夜も、入れ替わりで工事夫達が立ち働いている。騒音が大きく路線の運行を妨げない部分を昼間に、騒音が小さい工事は夜中に行われる。真夜中に窓を開け放つと、遠くからクレーンの稼働する低い音や、サンダーで何か金属質のものを削る音や、パイプを打ち付けた乾いた音なんかが聞こえてくる。僕はそういう音を聴いているのが何となく好きである。そして彼ら工事夫達の生活にまで思いを巡らしてしまう。黙々と作業を続けながらも、何かの拍子に空を見上げたり物思いに耽る事だってあるのだ。

 そういう事を想像しながら曲を掻き集めたという訳ではないのだけれど、丁度良いような気がしてこのタイトルを付けた。願わくば、元JRの保線夫で俳優の田中要次が地方路線の単線区の線路上に、作業着を身につけにヘルメットを被り、独り佇んでいる姿を想像しながら聴いて頂ける事を願う。

Maintenance man's melancholy from doggylife on 8tracks Radio.