ここで指摘しておきたいのは、筑前の商人の海外渡航が、十世紀以降急速にふえ出したことである。つまり、東アジア商圏への筑前の地場商人の参画がそれだ。博多商人の反中央、反体制の烽火はかくして上がり、現在へと続くのである。

武野要子著『博多〜町人が育てた国際都市〜』岩波新書 2000年 p.22