明日から師走となるが、この季節というのはどうしてこうも色々な事に想いを巡らしてしまうのだろうか。僕が思うに、毛の生え揃う前から地域やら学校やら家庭やらで執り行われる、西洋かぶれの珍妙な祭りと日本古来の伝統的風習がこの月の後半にどっと押し寄せる為、幼少の頃からの様々な思い出がこの月に凝縮されている故であろう。それに思春期を迎えてからはこれに加え恋愛に於ける最大のイベントとして世間では認知されてしまっているので、どんなに抗おうと大なり小なり意識せぬうちにこれに踊らされてしまうのだ。
 夜に煌めくイルミネーションの暖かい輝きに照らされた幸福そうな恋人達の笑顔がいやらしいほどにクローズアップされる。しかしその笑顔の向こう、ずっと奥の方にピントを合わせれみれば、小脇にレンタルビデオ屋の包みを抱えた男女がそれぞれに、目立たぬように人の影に隠れ俯き加減に歩いている。ああ何と残酷な季節であろうか。数百万の人間が蠢くこの光り輝く街の中、何処を探しても慈悲たる心など見当たらないというか何を書いているのか判らなくなってきたのでもう止す。

Blues in December from doggylife on 8tracks Radio.